ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕

名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長

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2012-02-23 [ Thu ]
テーマ:スウェーデン研修

少し古い報道資料で、スウェーデンの産業の概要を紹介してみよう。

1.産業
 地域別のEU地域では1万1,000人の雇用減少がみられ、スウェーデン国内では2万2,000人の雇用が減少した。生産拠点の決定は立地条件、西側市場に近いこと、自国内での需要が喚起されること(ポーランドの自動車工場がその例)、優遇政策がとられていることなどが要因となっている。
スウェーデンの国外での雇用は、産業界、サービス業界ともに大手企業が主として行っている。製造業ではエレクトロラックス(Electrolux、家電)、エリクソン(Ericsson、テレコム)、SKF(ボールベアリング)、ボルボ(Volvo、自動車)、アトラスコプコ(AtlasCopco、機械)、スカニア(Scania、トラック)などが国外で製造・販売での雇用を行っている。またサービス産業ではへネス&マウリッツ(Hennes & Mauritz、衣料品販売)、セキュリタス(Securitas、警備保障会社)が小売店店員、警備人の国外雇用を大々的に行っている。

以上はあくまで生産拠点を主とした議論であったが、最近では本社そのものを移転する動きが顕著になってきた。そのきっかけを作ったのがABB(アセア・ブラウン・ボベリ、重電)のスイスへの移転(89年)であり、そのあともファーマシア&アップジョン(Parmacia & Upjon、製薬) の米国(ニュージャージー)への本社移転、ストラ(Stora、製紙)のフィンランドへの移転、アストラ(Astra、医薬品)の英国への移転、エリクソンのロンドンへの移転(99年)が続々と発生した。本社移転にはその形態から3つのカテゴリーに分けられる。1つはコンツェルン首脳陣が移転するものでスウェーデン企業としての性格が失われる。その例としてイケア(Ikea、家具)、テトラパック(TetraPak、包装材)があげられる。

◎外国企業のスウェーデン国内での雇用者数
国名従業員数
米国51,138
オランダ34,905
スイス34,425
フィンランド33,685
英国32,865
デンマーク30,020
ノルウェー28,856
フランス21,732
ドイツ17,467
日本3,415
キプロス2,419
オーストリア2,003
ベルギー1,740
サウジアラビア1,035
イタリア841
その他4,523
合計301,069人

◎スウェーデン企業の国外での雇用者数
国名従業員数
米国94,837
ドイツ71,724
英国55,286
フランス38,422
デンマーク33,276
イタリア33,058
ノルウェー28,544
フィンランド24,538
スペイン19,616
ベルギー19,081
ブラジル18,426
オランダ18,104
ポーランド11,133
オーストリア9,939
カナダ9,865
その他141,280
合計627,129人

●移転理由は相続上の課税を軽減するためで、それぞれデンマーク、ルクセンブルクに移転、スウェーデンでの株の上場は考えておらず完全に多国籍企業化している。2つ目は本社機能を移転することである。本社機能移転の多くは金融、人事、広報、法務部門の移転であるが、場合によってはIT、研究部門も含まれる。アクゾノーベル(Akzo Novel、化学)が94年に誕生した際に、スウェーデンにあったノーベルの本社機能のうち金融部門だけがアクゾ(オランダ、アルンへム)の本社に移転した。アセア(改名後はABB)は89年にスイスのブラウン・ボベリと合併した際にスイスに本社を移転させている。理由としてブラウン・ボベリのほうが大きかったこと、金融の中心地としてスイスがふさわしかったことがあげられる。3つ目には、登記上、国籍を移転させるケースである。ストラはフィンランドのエンソ(Enso、製紙)と合併した折に本社をヘルシンキに移転させたが、株の配当への無税が要因だった。同様にメリタ・ノルド(Merita Nordo)銀行も同じ理由でヘルシンキに本社を置いた。後述2社ともに規模的にはスウェーデン企業のほうが大きかった。アストラは英国のゼネカ(Zaneca)と99年に合併したが実態はゼネカに吸収されたかたちで、金融の中心地ロンドンが、グローバルな事業展開上、有利と判断したためである。最近の事例では本社の移転にそれぞれ理由があるが根底には企業活動のグローバル化がある。


(2)企業にとっての主要移転先、移転先の魅力と移転のメリット
移転の例には本社、生産拠点、研究所移転が考えられる。以下、それぞれのケースでの移転先やその魅力などを考察する。
① 本社の移転
「エリクソンはロンドンに移転する計画」とか「ファーマシア&アップジョンはニュージャージーに本社の移転を計画」などの見出しが目立つようになっている。
スウェーデンからの本社移転先は西欧(ロンドン、ブリュッセル、フランクフルトに集中)、および米国に集中、その理由には大きく分けて次のケースが考えられる。
1.顧客への近接の必要性
2.供給業者との関係強化
3.ライバル企業への近接
4.研究開発の中心地への進出
5.法人税の低い地域への進出
6.個人所得税の低い地域への進出
7.経済政策上、有利な地域への進出
8.交通の便の良さ
9.合併による移転
10.買収による強制移転、
傘下コンツェルンの拡大に伴う本社の移転移転例を分析するといくつかの理由が重複している場合が多い。産業連盟調査協会(IUI)が行ったスウェーデン上位50社を抽出したインタビューによると、一番大きな比重を占めていたのがスウェーデンの会社首脳陣自身の勤労所得に対する課税率の高さ、そして交通の便の悪さであった。同国の累進課税率は他国と比較して高く、月給1万8,275クローネ以上の所得では、国税(20%)が加わり平均課税率は52%となる。それ以下の所得では平均31~50%の課税率(地方税)となる。
 例えば英国では所得税はスウェーデンよりはるかに低く、企業首脳陣にとっては英国への移転が大きな魅力となっている。またストックホルムはロンドン、チューリヒと比較すると国際空港としての乗り継ぎの便がはるかに悪い。欧州の北に位置しているとの心理的要因も無視できない。企業の合併、買収、傘下コンツェルンの企業拡張による本社移転は外的要因のものである。そのほかに顧客への近接性が重要であると答えたものも多かった。70年代のスウェーデン企業の国際化時のJETRO ユーロトレンド2000.6 33雇用流出問題では、国外進出が国外市場でのシェアーを確保し輸出を増大させると考えられていたので、国外進出の理由は違ってきている。大企業50社のうち今後3年間に本社を移転しないと答えた首脳陣は79%、残り21%は考慮中、あるいは実施中か実施済みとの答えであった。

② 生産拠点の移転
 生産拠点を移す理由には税率が低いこと、費用削減、市場への近接、受け入れ国からの生産設備設置要求、スウェーデン国内での環境規制強化、グローバル市場の観点からの地域市場の強化、物流上有利な位置への進出などが考えられる。アイルランドは、海外からの投資誘致に低い税率をインセンティブとしておりスウェーデンの家電工場が進出している。また費用削減では人件費の安い東欧に対する進出が最近盛んだ。ABBはポーランド、ハンガリーなどに進出している。

 スウェーデンの企業は90年には東欧ではわずかに700人しか雇用していなかったが、97年には4万6,800人を雇用するようになっている。進出の大部分は製造業であるが最近では金融業界の進出も盛んになっている。市場への近接との理由から米国への進出が盛んだ。スカニアトラックは米国で工場を操業させているが、その理由としては国外企業とのしてのイメージ刷新(地元企業化)、納品のタイムラグの短縮などがあげられる。ボルボトラックはブラジルでトラック組立てを行っているがそれはブラジル政府の要求でもある。また自国内での環境規制が激しく、より規制の少ない国への進出、グローバル市場の観点から地域市場での強化を行うために生産拠点を進出させるなどが考えられる。ボルボはタイで乗用車の組立てを行っていた。人件費の安さに加え、タイに工場を進出させることで同国側の要求に沿ったものである。物流の流れから市場に卸しやすい場所も進出先として考えられる。

事務用品メーカーのエッセルテー(Esselte)が最近ポーランドに書類とじ工場を取得しスウェーデンから生産の拠点を移したが、同じように人件費の安い東欧の中でポーランドを選択したのは西側諸国、スウェーデン、ロシアへの輸送のかなめにあるためだった。

③ 研究所の移転
 スウェーデンは研究開発に最も力を入れている国であり97年にはGNPの3.9%に相当する額が研究開発費に支出された。これはOECD諸国中でも最高であり、その後に日本、韓国の2.8%が続いている。この傾向は一層増大する傾向にある。研究開発は企業の生き残りの鍵である。95~97年の間にスウェーデンでは研究活動(研究日数X研究員)で10%の伸びがみられたが、同時期の国外研究活動は36%増加した。97年のスウェーデンの上位産業企業20社をみると同国内での研究が全体の61%を占め依然として比重が高いが国外においては米国、英国、ドイツ、イタリア、オランダの順で活発だ。国外のスウェーデン企業で研究開発に携わる人数は1万7,600人であったが、スウェーデンにおける国外企業で研究活動に携わる人数は8,500人である。
 
 研究所の設立理由には、研究員を確保しやすいこと、政治的理由などがあり、必ずしも費用面から立地がなされるわけではない。98年にエリクソンが中国に移動電話の開発研究所を設ける構想(現在は中止状態にある)を持ったことがあったが、それは自国の研究レベルを上げたいとする中国側からの要請でもあった。同社では市場の開放を進出の交換条件にあげていた。有能な研究員を確保しやすい点では米国のシリコンバレーが特筆され、エリクソンが研究所を設けているのはこのためである。またエリクソンのライバルのノキアがスウェーデンのシリコンバレーといわれるシスタに研究所を開設したのは、移動電話の研究員を確保しやすいこと、ライバルのエリクソンの動向を注視することが理由であった。経済的理由が移転の理由となることは希である。

2.企業の移転に伴う地元産業、財政、雇用などへの影響
 企業移転には本社移転、生産拠点の移転、研究所の移転があることを指摘したが、本社移転では比較的人数が少ないため、生産拠点の国外移転と比較して地元産業に対する影響は少ない。本社社員は比較的容易に転職できるが、工場労働者は失業した時に容易に転職できないという面もある。しかし本社移転が雇用の機会を減少させる点は否めない。情報技術(IT)技術者、専門職が多いことは社会全体の知識水準に大きく影響する。特に金融活動などがロンドン、ニューヨークに移動することは、長期的にみてストックホルムの金融、株式市場の機能に否定的な影響を与えるようになる。そして法人税が減少することも国家歳入にネガティブに作用する。従業員11万4,000人を抱え世界で活動を行っているセキュリタスは、99年8月6日に本社をロンドンに移転させる決定を行ったが、首脳陣の移転は国税庁にとって大問題でボーナスの数億クローネの一部は英国で課税されることになり、その分だけスウェーデンの税収減となる。
99年にIUIではスウェーデン上位企業50社のスウェーデン本社での雇用効果を分析した。
これによると本社社員(6,600人)の雇用額(人件費)が91億1,700万クローネ、外部の会社への依頼、発注(法律依頼、ITサービス、清掃会社などのサービスを含む)額が63億8,700万クローネになると概算している。

 また業界1人当たりの年間売上額を利用して換算すると外注企業での雇用者数は5,312人となる。3年間で移転を計画中の企業(21%)の本社が移転してしまうと本社員の1,400人、外注企業の1,100人が移転、あるいは失業することになる。全スウェーデン企業は規模的に10倍なので2万5,000人の雇用が危うくなる。それは年間8,000人の雇用を失うことを意味することになる。

 しかし地元産業に最も影響を与えるのが生産拠点の移動だ。税収がなくなり、また、移転することにより代替雇用の機会が生じないと、失業会計支出増加につながるため、公的財政はダブルパンチの影響を受ける。同時に地域での勤労者に対するサービス業や工場に対する納品業者の打撃、その従業員の失業という大きな影響を地域社会に与えることになる。ボルボは最近、乗用車部門をフォードに売却したがその結果、下請け企業での部品生産が縮小されるのではないかとの危惧が生まれた。スウェーデンの雇用の8分の1が自動車業界およびその下請け業者で創出されているといわれ、大きな社会不安を生み出している。フォードの社長は、ボルボが従来通りの活動を続けることを約束し交通安全対策研究所をボルボの中心地ヨ-テボリィに置くことを約束しているが部品に関する下請け業者への安定発注の約束はしていない。

3.強い経済を実現するための産業政策
「小さな政府」によって「強い経済」を実現することです。スウェーデンでは、強い経済をつくるために、ビジネス・インフラの競争力に重点を置いています。様々な優遇税制の設定での国外から高度人材や投資の呼び込みや、イノベーション・システム庁による効率的な研究資金配分により、一流企業を国に集積しているのです。
 産業政策面で際立っているのは、スウェーデン政府が企業の経営破綻には一切救済しないことです。経営危機に陥った大手自動車メーカー、ボルボやサーブを支援しなかったことは有名です。この哲学を貫くことで、斜陽産業や倒産寸前の企業を整理・淘汰し、労働力をより生産性の高い産業や成長企業に移動させ、経済全体の生産性を向上させているのです。スウェーデンは、企業活動を支えるこのような産業政策面では、小さな政府なのです。
 
 一方、スウェーデンの強い財政は、税制や社会保障制度、財政制度などの改革により強固な基準を確立しています。税制面では、所得税、法人税の限界税率を引き下げ、動労所得と金融所得を分離する二元的所得課税と環境税を導入。財政制度面では、96年以降、複数年度予算が採用されました。これは, まず歳出総額を決め、これに基づき個別歳出分野にもキャップをはめるものです。

 最後に、スウェーデンの社会保障は、国民の将来不安解消と同時に、就労インセンティブを失わせない仕組みとなっています。国民にとって受益と負担の関係がわかりやすくなっており、地方所得税は給与のみならず年金、疾病保険、失業保険、育児休業保険にも課されて、国民が広く負担を分かち合う構造になっています。さらに、働かなければこの手厚い社会保障を手に入れられない、モラルハザード防止装置が付いているのが特徴です。

 日本の社会保障が高齢世代に偏った「人生後半の社会保障」であるのに対して、スウェーデンの社会保障はすべての国民を対象としていて、出産、育児、病気、失業、高齢化といった人生のリスクに対応し、現役世代の生活保障システムとして機能しているのです。

 日本は、バブル崩壊後も根本的な構造改革を先送りしてきました。しかし、スウェーデンの社会保障をモデルにするにも、政治・政府への国民の信頼感の差を考えると、日本での実現は難しいものでしょう。スウェーデンの経験に学ぶならば、企業の国際競争力を追求する構造改革を継続する一方で、最大の源泉である人材に対して生活面の保障制度を再構築する必要があるのではないでしょうか。この社会保障については、更に日本との違いを後日紹介します。

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プロフィール

ゆきまつ

Author:ゆきまつ
幸松(ゆきまつ) 
   孝太郎(こうたろう) 
65歳
住所:名張市百合が丘西2ー86
職業:名張市議会議員(無所属)
家族:妻、二男一女の5人家族
座右の銘:
”Mastery for Service
(奉仕のための練達)”
「”社会の中で輝いた生き方”をするために!」

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