ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕

名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長

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2011-11-20 [ Sun ]
テーマ:社会保障と税

 伊勢新聞によると昨日、社会保障と税に関わる番号制度についてパネル討論会が開催されたので紹介しよう。また、この制度について、経緯や問題点も市民の皆さんには重要なことであるためしっかり理解してほしいので、報道から一部引用して参考に掲載しました。

 『政府が平成二十七年一月の導入を目指す、社会保障と税に関わる番号制度について考える「番号制度シンポジウムin三重」(番号制度創設推進本部、伊勢新聞社共催)が十九日、津市桜橋の県教育文化会館であった。古川元久社会保障・税一体改革担当大臣らが出席してパネル討論や国民対話があり、約八十人の参加者が制度の長所や課題などについて理解を深めた。

 制度は、年金や医療、介護保険など社会保障のよりきめ細やかな給付や、所得把握の精度の向上、災害時の本人確認や事務手続きの簡素化などが可能になるとして、政府が導入を検討しているが、個人情報流出の問題点なども指摘されている。

 パネル討論は、山本藤雄伊勢新聞社取締役論説委員をコーディネーターに、古川大臣や須藤修東京大学大学院教授、雲井純・百五経済研究所社長、上杉英明・東海税理士会調査研究部副部長、石坂俊雄弁護士ら五氏が意見交換した。

 雲井氏は「基本的に賛成」とした上で、「国民の懸念は情報漏えい。(一部)漏れても(ほかの情報を)一度に見れないようにするとか、システム構築が必要。第一段階として、導入のメリットが国民に分かる範囲に限定し、ステップ・バイ・ステップでやるのが良い」と提言。上杉氏も、当初は限定的に運用し、時間をかけて制度を熟成させる必要があると述べた。

 石坂弁護士は明確に反対を唱え、同制度がプライバシーを侵害するもので、真の目的は社会保障費の削減にあると主張した。

 古川大臣は、同制度が「行政側から(国民を)管理するというよりは、国民の視線に立ってやっていく」とした上で、現在所得税を納めていない低所得層の所得を把握し、個人所得に応じたきめ細かい社会保障を実施していきたいとした。

 続く会場との質疑応答で、会場からは「(番号をもらわない)アンダーグラウンドの世界が増えてくる。現代のカースト制みたいなものができてしまう」と問題点を指摘する声や、「年金を受け取るのに現状では非常に手間が掛かるが、番号制度で(年金受け取りが)スムーズになる。速やかに、国民の喜ぶところから手を付けてほしい」との賛成意見などがあった。

 古川大臣は最後に、「きょう挙げられた懸念に、一つ一つ答え、払拭(ふっしょく)に全力を挙げ、信頼を確保できる体制をつくっていきたい。ここまでならよい、というところから(制度を)始め、適用範囲をどこまで広げるかは、今後順々に議論し進めたい」と語った。

 政府は二十七年に制度を導入し、同三十年に利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを行う計画で検討している。』

以上のような内容であるが、いつものように様々な問題点を含んでいることが指摘されている。そこで、この問題点の詳細を参考にしてほしい。

1.社会保障・税に関わる番号制度の経緯 
 2011年4月28日、政府の社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会が、社会保障・税番号要綱(以下、要綱。また、社会保障・税番号を共通番号と略す。)を決定した。これは2011年1月31日の政府・与党社会保障改革検討本部による「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」に基づくものであり、共通番号制度の実現へ向けてまた一歩前進したといえる。

 東日本大震災の影響によりその進捗が危ぶまれた共通番号制度だが、粛々と進めていくという政府の方針により、予定どおり要綱が決定された。被災者の生活再建や地域コミュニティの再生等にも資すると明記され、震災からの復興においても、この共通番号が大きな役割を果たすべきと考えられている。


2.検討過程における問題
 この要綱が発表されたことは、国家百年の大計ともいうべき番号制度を周囲の空気や流れに任せたまま作り上げていくことを深刻な事態として懸念している。具体的な問題について、いろいろな問題が絡み合っているため、3つの切り口で指摘している。

①.問題その1:制度と技術の相互補完について
 システムというものは、どの部分をどの組織がどのような責任を持って運用するのかという制度が構築されていなければ正しく動かず、決して技術だけで構築できるものではない。先の合同WGの議論では、個人情報保護WGが第三者機関と情報連携基盤の関係について詳細を検討していないことが明らかとなった。

 第三者機関とは、番号制度における個人情報の保護等を目的とする、行政機関から独立した委員会という位置づけとなっている。そして、情報連携基盤とは、情報保有機関Aと情報保有機関Bの間の情報流通に介在し、情報保有機関同士の恣意的な情報連携を防ぐ役割を果たす。ところが、基本方針では情報連携基盤を担う機関の所管は総務省となっており、総務省は情報保有機関の1つであるため、情報連携基盤がいくら強固なセキュリティ技術を保有しても、情報保有機関同士の恣意的な情報連携を牽制する効果はまったく無い。原発の安全性を監視する原子力安全・保安院が、原発を推進する経産省の配下にあって機能しなかったのとまったく同じ構図だからだ。

 そこで、情報連携基盤技術WGから第三者機関は情報連携基盤にどのように関わって監視するのかという質問が出されたが、「情報連携基盤を常時監視することまでは考えていない」という個人情報保護WGの回答であった。つまり、恣意的な情報連携が可能な組織構造となっており、現在検討されているような複雑なセキュリティ技術は何の役にも立たないことになる。またその反対に、第三者機関が情報連携基盤を常時監視する構造となっていれば、現在検討されているような複雑なセキュリティ技術は必要なく、もっと簡便な方法で恣意的な情報連携を防ぐことが可能となる。

 要綱では、情報連携基盤の運営機関について引き続き検討するとされ、基本方針のときにあった総務省という言葉が消えている。そして、第三者機関は情報連携基盤を随時監査するというあいまいな表現にとどめられている。このあいまいさが放置されれば、膨大なコストをかけてまったく機能しない複雑なセキュリティシステムを構築するという愚を犯すことになるだろう。ちなみに、オーストリアの方式ではこの情報連携基盤を第三者機関であるデータ保護委員会が担う構図となっており、行政機関同士で恣意的な情報連携はできない仕組みとなっている。

 システムの構築においては、法的制度と技術がしっくりと相互補完していることが最低条件である。相互補完の前提条件を議論せずに、2つのWGが個別に議論をしていては完璧なシステムを構築することはできない。いくら高度なセキュリティ技術を導入しても、法的制度の補完がなければ、まったくの無駄な投資となり、情報漏洩や権利侵害も起きる。法的制度と技術の相互補完について早急に取りまとめを行い、その前提のもとに制度や技術の設計を再検討する必要がある。

②.問題その2:複雑さとセキュリティの関係
 ある団体が最近実施した個人情報の流通や活用に関する国民の意識調査が示すところでは、個人情報の活用を促進するために必要な取り組みとして、法制度やルールの整備、独立機関の設置、国民の意識向上などよりも、セキュリティ技術の一層の向上という回答が最も多かったという。

 国民一般からすると、セキュリティ技術が向上すれば、安全性が高くなるという感覚を持つだろうが、それは大きな錯覚である。いくら高度な技術があろうとも、それを運用する組織が責任を持って技術を扱わない限り、まったく無防備な状態と変わらない。つまり、組織の役割と責任を先に決定しなければ、どのようなセキュリティ技術を導入して安全性を確保すべきか判断できない。

 合同WGで提出された情報連携基盤技術の骨格案という資料を見ると、共通番号とは異なったIDコードや情報保有機関ごとのリンクコードが使われており、非常に複雑な仕組みになっている。このような複雑な仕組みは国民に安全性が高いと錯覚を起こさせ、コストの増大をもたらし、コードの紐付けや情報連携で運用負荷の増大を招くだけでなく、次のようなプライバシー上の問題も生じさせる。

•リンクコードが異なっていても、社会保障と税に関するデータは共通番号が付されており、情報保有機関同士では恣意的に共通番号でデータのマッチングができる。また、情報連携基盤によって氏名や住所が正しく更新されているならば、共通番号がなくても氏名・住所・生年月日などで簡単にマッチングできる。

•IDコードやリンクコードは、国民に明らかにされる共通番号と異なり、国民から「見えない」番号となっている。そもそも国民や第三者機関が認知できないコードを使って個人情報を連携することはプライバシーの侵害になる。
骨格案は技術的に複雑なシステムを構築しているため、国民一般にとっては、あたかも安全性が高そうな仕組みに見えるかもしれない。しかし、専門家であれば、運用するための法制度やルールが整備され、運用可能な業務負荷でなければ、技術は何の役にも立たないことを承知しているはずである。複雑な仕組みを運用する意味がわからず無責任になる、あまりにも煩雑で負荷が高く運用しきれない、このような現場において情報漏洩の危険性が高くなることはシステム構築の常識である。要綱ではIDコードやリンクコードという言葉は使われておらず、その実体が番号であるにも関わらず「符号」という言葉が使われ、国民から見てあまりにも不透明な仕組みになっている。

 情報連携に焦点を当てるのではなく、その結果に焦点を当てて不正行為を防ぐことの方がよほど効率的かつ効果的である。第三者機関の権限を強化し、内部告発制度を構築した方が安上がりで安全性が高いというような議論がなされていないのも甚だ残念である。制度的な議論がなされず、安全性が高く見えるよう技術的な高度さと複雑さばかりが追求され、結果として何の役にも立たないシステムが構築されてしまうことのないよう、再度議論を戻して検討し直すべきだろう。

③. 問題その3:最高裁判決という要件の不明瞭さ
 要綱の基本的考え方では、国民の懸念への対応が重要なポイントになっていることが示され、なかでも住民基本台帳ネットワーク(以下、住基ネット)に関する最高裁合憲判決がシステム構築の重要要件となっている。最高裁判決によって番号制度に課せられた要件とは6項目あり、その中でも2番目の「Ⅱ個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと」という要件が、システム設計に大きな影響を与えている。
具体的には次のような制度設計を行うこととするとされている。

Ⅱについては、(a)情報連携の対象となる個人情報につき情報保有機関(「番号」に係る個人情報を保有する行政機関、地方公共団体及び関係機関(日本年金機構等をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)のデータベースによる分散管理とし、(b)法令で定める事務について「番号」に係る個人情報を情報保有機関間でやりとりするための電子情報処理組織(以下「情報連携基盤」という。)においては、「民-民-官」で広く利用される「番号」を情報連携の手段として直接用いず、当該個人を特定するための情報連携基盤等及び情報保有機関のみで用いる符号を用いることとし、(c)さらに当該符号を「番号」から推測できないような措置を講じる。

 しかし、なぜ「個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと」という要件から、「番号を用いずに符号を用いること」が導き出されるのかが不明である。最高裁判決を読むと、「行政機関において、個々の住民の多くのプライバシー情報が住民票コードを付されて集積され、それがデータマッチングされ、本人の予期しないときに予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される具体的な危険が生じている」と判示したのは大阪高裁であり、最高裁はそれに対してデータマッチングそれ自体が刑罰の対象であり、「個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在しないこと」から具体的な危険はないと判断している。

 つまり、現在は個人情報を一元的に管理することができる機関又は主体が存在せず、今後も一元的に管理することができる機関又は主体を存在せしめぬよう第三者機関が監視を行っていれば、何ら問題はなく、わざわざ符号を用いる必要性は無い。ところが共通番号を使って情報連携することは、仮想的に「個人情報を一元的に管理することができる機関が存在すること」になると解釈しているようだ。言い換えれば、仮想的にも「個人情報を一元的に管理することができる機関が存在しない」ことを証明するため、情報連携のためのリンクコードを一時的に発生させているということになる。そもそも情報連携を容易にするために共通番号を導入するという議論が、最高裁判決を持ち出して情報連携を容易にしないために共通番号ではなくリンクコードを使うという議論に変化してきている。

 
3.最後に
 30年前のグリーンカード制度の失敗やこの10年近く続いた住基ネット訴訟で、政府は番号制度がトラウマになっているようであり、本質的な議論ができていないように感じる。

 番号制度は国家の礎である。周囲の空気を読んだり、空気に流されたりして構築すべきものではない。東日本大震災からの復興においても、番号が無いために義援金の配分や資産の管理・処分などで被災者や被災地は大きな苦労をしている。従来のスケジュールに捉われることなく、法案提出が来年の通常国会にずれ込んでも構わない。同じ失敗を何度も繰り返すのではなく、今度こそは仕切り直しをしてでも、日本が再生するための礎として、国民に役立つ番号制度を作らなければならない。

 政府は6月31日に社会保障・税番号大綱を決定し、秋以降に番号法案及び関係法律の改正法案を提出するという予定になっている。日本における番号制度の導入とは、国家百年の大計として国の礎を作ることに他ならない。
 しかし、ここまでの議論の状況を見る限り、大きな不安を感じざるを得ない。本質的な議論がなされず、大綱が決定し、平成26年には個人に「番号」、法人等に「法人番号」を交付する。以降も社会保障分野、税務分野などの利用開始が計画されている。見識者らの取り囲む様々な空気に流され、土台が揺らいだ仕組みになってしまうことを懸念するため、市議会としても請願等も検討する必要がある。

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プロフィール

ゆきまつ

Author:ゆきまつ
幸松(ゆきまつ) 
   孝太郎(こうたろう) 
65歳
住所:名張市百合が丘西2ー86
職業:名張市議会議員(無所属)
家族:妻、二男一女の5人家族
座右の銘:
”Mastery for Service
(奉仕のための練達)”
「”社会の中で輝いた生き方”をするために!」

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