ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕

名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長

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2013-02-14 [ Thu ]
テーマ:再生エネルギー
今日は、竹内 純子 国際環境経済研究所主席研究員のお話を紹介しよう。

1.先人に学ぶ ~ドイツの太陽光発電導入政策の実態~• 2012/02/10
• 再生可能エネルギーの可能性と問題点
 
2002年に成立したエネルギー政策基本法は、「3つのE」(安定供給、環境保全、経済性)を基本方針と定めている。電気事業者は、この3つのEを同時達成することが使命(電気事業連合会ホームページより)とするが、同時にすべてを満たすことは無理であり、どうバランスをとるかの話である。
 政策目的として何を一番重要視するかは、その時代の状況に大きく左右される。ここ数十年の日本のエネルギー政策を振り返ると、大きく3つの時期に整理できる。
 1973年の第一次オイルショックの後は、エネルギーの量的確保、すなわち安定供給が最重要視された。バブル景気崩壊後の1990年代には、量的確保に加えて経済性が求められた。電力市場に競争原理を導入する検討が進められたのはこの時期だ。そして1997年の京都議定書採択後から震災直前までは、地球温暖化対策、即ち環境性が求められていた。現行のエネルギー基本計画が2030年見通しで原子力発電の比率を53%としているのは、民主党の鳩山政権が掲げた「温室効果ガス1990年比25%削減目標」という無理な数字のつじつまを合わせられる手段がこれ以外なかったからだが、これを国のエネルギー基本計画とする価値観がそこにあったわけだ。
 東日本大震災により、日本人は2つの強烈な経験をした。一つは原子力発電所の事故。もう一つは計画停電である。前者により原子力発電を使い続けることへの疑問・嫌悪が生じ、後者により電力の量的確保の必要性を実感した。
 諸外国と比べて圧倒的に停電の少ない日本においては、停電を経験したことがないという方も少なからずいるだろう。かくいう私もその一人であり、震災後の計画停電により、電気は生活の必需品という事実を初めて体感的に理解した次第である。
 この2つの強烈な経験を経て、「脱」あるいは「卒」原発しつつエネルギーを供給する「第三の手段」として再生可能エネルギーの導入拡大が大きく議論されているが、果たしてそれが問題解決につながるのか。興味深いレポートがあるので紹介したい。

2.先人に学ぶ2 ~ドイツの挫折 太陽光発電の「全量」買取制度、廃止へ~• 2012/03/05

 2012年2月10日の記事 で、ドイツの雑誌シュピーゲル誌掲載の記事から、太陽光発電の全量固定価格買取制度が大きな政治問題に発展していることを紹介した。ドイツでは、太陽光発電のオーナーたちが得た補助金は80億ユーロ(約8600億円)を超えるにもかかわらず、雪の多い冬季は何週間も発電できず、1年間を通してみると3%程度の不安定な電気を生産するに過ぎない。国民の怒りが膨らむのも当然であろう。今回はその続報である。
 ドイツ連邦環境省のプレスリリースによると、連邦環境省と連邦経済技術省は2012年2月23日、太陽光発電を対象とする全量固定価格買い取り制度の大幅な見直し案を発表した。2012年3月9日以降に系統に連携する太陽光発電については、2013年から各設備の発電量の85~90%までの買い取りに制限すること、加えて、2012年3月9日からの買い取り価格引き下げ、および買い取り価格の改訂(引き下げ)頻度をこれまでの半年から月毎へ変更することも提案されている
 また、2011年の1年間だけで約750万kWもの導入があったことを踏まえて、2012年と2013年において250-350万kWの導入制限も提案されている。日本では、見習うべき成功事例として取り上げられるだけであったドイツの全量買取制度も、実態は前回ご紹介した通りで、「太陽光はドイツの環境政策の歴史で最も高価な誤りになる可能性がある」(シュピーゲル誌)ということだったのである。
 皮肉なことに、私がこのニュースを知った12年2月25日の日本経済新聞9面に、「メガソーラー参入加速」という記事があった。日本でも今年7月から全量買取制度が導入されるため、各社がメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設に乗り出しているというのだ。企業であれば、これはきわめて正しい行動だ。固定価格買取制度にいち早く乗れば、絶対に損せず、労せず儲けることができるからである。

3.ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ①• 2012/07/11

 7月1日、日本でもとうとう再生可能エネルギー全量固定価格買い取り制度(Feed in Tariff)がスタートした。
 こうした制度を活用して再生可能エネルギー導入に成功し、福島原子力発電所事故後早々に脱原発を宣言したドイツは、今後我が国の電力システムを検討するうえでの「理想像」とも言われている。彼の国を理想として追いかけて、たどり着く先は本当に理想郷なのか。
 ドイツの電力事情について、つい最近ドイツ連邦水道・エネルギー連合会(BDEW)のホームページに同国の最新情報が掲載されたので、そのデータをここにご紹介したい。
電源計画について
 下記の表が2012年4月現在、ドイツが掲げる電源開発計画(ステータス別)である。これを見ると、設備容量ベースで約7割が化石燃料であり、彼らが国内に潤沢に持つ石炭(質の悪い褐炭が多い)を主力としていることがわかる。
 なお、再生可能エネルギー(揚水水力を除く)は設備容量ベースでも18%にとどまっている。当然のことながら、再生可能エネルギーの稼働率は低いので(ドイツにおける太陽光発電平均稼働率は10.4%、風力が23.4%とされる)、発電電力量ベースであれば、さらに少なくなる。我が国においては、「原子力か再生可能エネルギーか」と二項対立で語られることが多いが脱原発を進めるドイツでは、実は冷静に原子力の代替を化石燃料で図り、エネルギーの安定供給には支障が出ない現実的な計画になっていることがうかがえる。
 さらに付け加えるならば、送電系統が連携しているヨーロッパの一カ国と日本の電源構成を比較してもあまり意味はなく、ヨーロッパ全体を俯瞰すると日本と似通った電源構成となっている。

出典)BDEW(Bundesverband der Energie und Wasserwirtschaft:ドイツ連邦エネルギー・水道連合会)
http://www.bdew.de/internet.nsf/id/91C0FC9A8D7AD3EEC12579E9002F8CBF/$file/120424%20Anlage%20zur%20PM%20Hannover_Kraftwerksliste%20aktuell.pdf

4.ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ②• 2012/07/23

 前回ドイツ連邦エネルギー・水道連合会HPのデータをもとに、

ドイツの電源計画が自国で産出する褐炭(石炭の中でも品質の悪いもの)を主に、化石燃料を中心とする構成になっていること。

北部に大量導入した風力発電による電力を、消費地である南部に届ける送電線の建設が遅れていること。その不安定な電源が流入する近隣国から苦情が出ていること。

発電設備容量と発電電力量の比較を通じて、ドイツが太陽光発電設備の大量導入には成功したものの、それが生み出す電力があまりに少なく、経済的負担があまりに大きくなっていること。
などをご紹介した。今回は引き続き、自由化の進んだドイツで、電気料金がどのように推移しているかをご紹介したい。
ドイツの電気料金の推移
 下記のグラフは、BDEW(ドイツ連邦エネルギー・水道連合会)※参考①のまとめる家庭用電気料金(年間の電気使用量が3,500kWhの1世帯(3人家族)の平均的な電気料金と、産業用電気料金(産業用の平均電気料金)の推移である。
 1998年に自由化が開始され、電気料金はいったんさがったものの、2000年以降上昇傾向にあり、特に家庭用では2000年時点に比べ、1.8倍以上に上昇している。
 自由化開始から既に15年近く経過するドイツには、電力の小売事業者が1000社程度存在する。多くのエリアの一般家庭は200社以上から自由に選択可能だというから、それは消費者にとって大きな魅力であろう。ドイツ在住のジャーナリスト熊谷徹氏の「脱原発を決めたドイツの挑戦」※参考②によれば、電力会社も消費者から選択されるために多様なメニューを用意するとともに、情報開示にも積極的であり、精算書に1キロワット時あたりのCO2排出量や核廃棄物量などの情報も掲載されているという。こうしたメリットは自由化によりもたらされたものと考えて良いだろう。
 しかし、日本における議論を見ていると、自由化により電力料金が安くなると短絡的に考えられている向きがある。現在日本は電力不足にあえいでいる状態であり、発電電力が不足する中で拙速な自由化を進めれば、価格が上昇することは容易に想像できる。自由化を進めた各国の状況を正確に把握し、自由化によって何を実現したいのかを明確にしたうえで議論を重ねていくべきであろう。



5.ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ③ 2012/07/28

前々回①では、
・ドイツの電源計画が自国で産出する褐炭(石炭の中でも品質の悪いもの)を主に、化石燃料を中心とする構成になっていること。
・北部に大量導入した風力発電による電力を消費地である南部に届ける送電線の建設が遅れていること。その不安定な電源が流入する近隣国から苦情が出ていること。
・発電設備容量と発電電力量の比較を通じて、ドイツが太陽光発電設備の大量導入には成功したものの、それが生み出す電力があまりに少なく、導入の経済的負担に対する反発が大きくなっていること。
前回②では、
・ドイツでは1998年の自由化開始当時と比較して電力料金が上昇していること(家庭用では2000年時点に比べ、1.8倍以上)
・ドイツの電力料金を押し上げている主要因が税金・再生可能エネルギー導入賦課金であること。
・エネルギーコストと供給不安により産業空洞化が懸念されていること。
などをご紹介した。前回に引き続き、ドイツ連邦エネルギー・水道連合会(BDEW)のデータや同国の再生可能エネルギー法の見直しに関する情報をご紹介する。
再生可能エネルギー法の見直し
 7月1日から再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度をスタートさせた日本に衝撃的なニュースが飛び込んできた。ドイツが太陽光発電の買取制度を大幅に修正することが決定したという。6月27日に開催された上院と下院の両院協議会において、
・太陽光発電の買い取り価格の20~30%の引き下げ
・太陽光発電の累計設備容量が5,200万kWに達した後は太陽光発電の買い取りを中止
(*現在既に累積設備容量は2,700万kWに達しており、2016年にも5,200万kWに達すると見込まれている)
を柱とする修正法案に合意、6月29日に成立したのだ※参考①。
 ドイツが再生可能エネルギー法導入したのは、2000年である。太陽光発電については、全量を20年間固定した価格で買い取ることとしており、それを追い風として、ドイツの太陽光発電の設備容量は2005年以降世界第一位となっている。しかし、ドイツの雑誌シュピーゲル誌が今年1月18日に報じたところよれば、「その設備の導入により、設備のオーナー達は80億ユーロ(8,240億円)を超える補助金を受け取った」にもかかわらず、発電電力量に占める割合は全体の3.3%にしか過ぎないこと、国民負担が非常に大きくなっていること(月間消費電力量が約300kWhの一般的需要家の負担額が月1,000円を超え、そのうち約半分は太陽光発電に起因したものとなっている)ことはお伝えしてきたとおりであり、シュピーゲル誌は「太陽光はドイツ環境政策の歴史の中で最も高価な誤りになる可能性がある」と指摘している。
 これだけ補助金を出しても、国内に還流され、産業が育つのであれば国民の理解を得られるであろうが、ドイツに本拠を置く太陽光発電のトップメーカー、Qセルズ社が倒産したことは記憶に新しい。

6.ドイツの電力事情④ 再エネ助成に対する不満が限界に• 2012/09/19

 ドイツの電力事情③において、再エネに対する助成が大きな国民負担となり、再生可能エネルギー法の見直しに向かっていることをお伝えした。その後ドイツ産業界および国民の我慢が限界に達していることを伺わせる事例がいくつか出てきたので紹介したい。
ドイツ繊維業界が再生可能エネルギー法は憲法違反であるとして訴訟提起
 このニュースは、7月1日に再生可能エネルギーに関する固定価格買取制度を導入したばかりの日本に衝撃を持って伝えられた。(http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2012/08/0821.html)。
現地報道(http://www.endseurope.com/29427/german-textile-firms-challenge-green-energy-law)によれば、8月14日、繊維業界3社が、再生可能エネルギー法による太陽光発電などへの助成は憲法違反であるとして電力会社に返還を求め、地方裁判所に訴訟を提起した。この3社は業界を代表して訴訟を提起したのであり、ドイツ繊維・服飾連合会は訴訟費用の負担などにより裁判を全面的に支援することとしている。昨年、業界全体で7000万ユーロ(70億円)、原告の一人であるファヴォロン社においては18万ユーロ(1800万円)を支払ったという。ファヴォロン社の従業員数は180人強だというから(電気新聞9月5日 熊谷徹氏”ヨーロッパ通信”より)、その負担の大きさがわかる。
 
 単に負担の大きさに耐えられないということでは訴訟を構成できないため、ドイツ繊維・服飾連合会はレーゲンスブルグ大学に見解を求め、1994年ドイツ連邦憲法裁判が下した石炭業界への補助金を違憲とする判決を例に、今回の提訴に踏み切っている。コールペニー(石炭プフェニヒ)と呼ばれる石炭産業に対する補助金は、電力料金に一定率を上乗せして徴収され、連邦政府が管理する石炭発電基金から連邦予算を経由せずに、約20年にわたり支出されていた。このような特別公課は、あくまで特定の関係者に対象が限定された例外であるべきところ、コールペニー(石炭プフェニヒ)は一般の電力消費者を対象としている点で通常の租税に近く、議会の租税制定権を侵犯しており、違憲であるという判断であった。
 一般消費者に広く負担を強いるという点において、電気料金と税は似た感覚で捉えられる。しかしながら、税は議会による承認を経なければ改正ができないが、電気料金であればそのような手続きを必要としない。こうした手続きを経ずに納税者全体ではなく、「電力消費者」に負担を求める再生可能エネルギー優先に関する法律(Feed in Tariffの根拠法)は違憲であると、くだんの繊維業界は主張するものと見られる。Feed in Tariffの運用にあたっては、電力を多く消費する産業や国際競争にさらされる産業を保護するために免除措置を導入せざるを得ず、その分、中・小規模の企業に大きな負担がのしかかっていることにも不満が生じている。
 Feed in Tariff制度の問題点として、買い取り価格の客観性の確保の難しさについてはよく指摘されているが、加えて、(日本の場合)価格算定委員会の行政機関上の位置づけ、国会の租税立法権の侵害、減免措置の合理性など、様々な問題点を内包する制度である。このドイツでの訴訟が契機になって、我が国においても、今後議論を呼ぶことは必至だ。

7.ドイツの電力事情⑤ -送電網整備の遅れが他国の迷惑に-• 2012/12/04

 太陽光、風力などの再生可能エネルギーは基本的に「太陽任せ、風任せ」であり、間欠性電源と言われる。間欠性電源の導入量が増えるとそれまで見えなかった(正確には、見てこなかった)コストや問題が発生する。その一つが、主として風力発電の大量導入に伴って必要な送電線の整備、もう一つが、太陽と風のご機嫌が悪かった時に備えて人間がコントロールできる発電設備の維持である。ドイツでは固定価格買取制度によって、再エネの大量導入には成功したが、それによってもたらされるこの二つの問題も顕在化してきている。今回は、送電網の整備の遅れによって生じている問題を紹介する。
 太陽光や風力が大量導入された場合、それが系統の安定運用に与える様々な影響については、平成22年1月に電力系統利用協議会が出した報告書に詳しい(http://www.escj.or.jp/news/2009/20100224.pdf)が、一般的に認知されていない事象として、例えば電力需要の少ない時期にはベース供給力(自流式水力や火力の最低出力、震災前であれば原子力など)と太陽光・風力による発電量が需要を上回ってしまい余剰電力が発生する可能性が指摘されている。電気は基本的にためておけないので、需要と供給のバランスを一定に保つ必要がある。需要が多すぎても供給が多すぎても、周波数のバランスが崩れ、停電に至ることもあるのだ。そのため、間欠性電源はその導入と並行して送電網を整備し、生みだされる電力を「大きなプール」で吸収することが必要になる。
 ドイツの状況を見てみると、2010年の東ドイツ地域の最大電力は1,043万kWであるのに対し、導入された風力発電の設備容量は1,104万kWになっている。同年の風力発電最大出力は821万kWで、電力需要を風力発電出力が上回る時間帯も発生しており、東ドイツ地域のみで需給バランスを維持することが困難な状態になっている。

 欧州の送電会社は自エリアの需給バランスを維持することを義務づけられており、ドイツの送電会社4社は相互協力を重ねてなんとかドイツ全体では概ね需給バランスを維持しているが、特にポーランドやチェコなど、送電線の連系した隣国に安定供給維持を目的とした送電容量の上限を超えて電気の流れが発生しており、10月26日付ブルームバーグでも「ドイツの風力発電による負荷で、東欧諸国が停電の危機」と指摘されている通り、東欧諸国での安定供給を困難たらしめているのだ。

 ドイツ南部工業地帯への送電線整備が進めば、自国(北海沿岸の風況が良い地域)で生みだされた電力を自国内で消費する「地産地消」が進むが、送電線の整備の遅れは著しい。景観の悪化による地価下落や送電線の電磁波による健康影響を懸念する地域住民の反対が強いためで、今後10年間で約3,600kmもの送電線整備が必要だとされるなかで、2006年からの5年間で整備できた送電線はわずか90kmにとどまっている。
 これは対岸の火事ではない。日本における風力発電の適地は、北海道や東北の一部だが、送電線がぜい弱な地域でもある。そこで政府は風力発電導入促進のために地域内送電線建設を拡大する方針だが、そもそも北海道は最小需要(最も電力需要が低い時の需要量)が本州に比べ小さいため、風力発電の導入が順調に進めば、風力発電の出力が最小需要を上回る可能性がある。つまり、前述した風力発電導入によりドイツで発生した諸問題が、北海道ではかなり早い段階で顕在化することを意味している。
 送電網の整備に必要なコストは、地内の送電網整備にかかる費用だけで3,100億円程度、北海道と本州を結ぶ 北本連系線等基幹送電網を整備するには、1兆1,700億円程度が必要と試算 されている。しかしながら、政府のコスト等検証委員会は当該費用を含めずに発電単価を比較しているのだ。
 エネルギー政策の選択に当たっては、その経済的負担も含めて国民的コンセンサスを得る必要がある。当然見込むべきコストを見せないまま議論が進めば、将来多くの国民が「こんなはずではなかった」と思うようになるだろう。その時になって「聞いていなかった」と言っても負担するのは我々国民である。海外の事例に良く学び、慎重な進路選択をする必要がある。

8.ドイツの電力事情⑥ -供給力確保への苦闘-• 2012/12/05

 太陽光・風力など、出力が不安定な電源が大量導入された場合、送電網の整備等の系統安定化対策に加え、人間がコントロールできる安定的な調整電源の維持も必要となる。
 欧州各国では電力自由化が進んでおり、その一方で、再生可能エネルギーの導入を政策的に進めてきた。再エネ導入量の増加に伴って、ガスを中心とする火力発電所の稼働率が低下するに伴い、事業者は採算性の悪化した設備を廃止する動きを強めざるを得ない。しかし風力・太陽光などが「間欠性電源」であることを踏まえれば、安定的な調整電源は誰かが維持し続けなければならないのだ。
 このため、ドイツ、イタリアなど欧州各国で発電容量の維持を義務付け、それに対して一定の報酬を払う制度が導入されつつある。脱原発を宣言し、供給力に不安が出てきたドイツでは、ことはいっそう深刻である。
 2012年10月17日、ドイツ連邦政府は冬期の需給バランス確保を目的として、電力会社に対し、向こう2年間、現在の発電容量を維持することを義務付ける法案を閣議決定した。
 また、発電所の閉鎖時には少なくとも12か月前に規制機関(連邦ネットワーク庁)に申請すること、同庁が安定供給に支障が出ると判断した場合は廃止の差し止めを命じることができることも法制化している。電力会社には発電容量維持に伴い生じた費用の補償を行われることが予定されており、財源として電力関連の新たな課税が検討されている。連邦経済省は、これによる国民負担は1世帯当たり2ユーロ/年程度と試算している。再生可能エネルギーの賦課金による負担が来年1世帯当たり60ユーロ(約6000円)程度上昇する見通しである上に、こうした新たな課税を行うことは政治的にも非常に困難であることは容易に想像できるが、電力会社の財産権行使を制限するからには相応の補償が必要となるのは当然であろう。
 政府が打ち出したこの方針に対して、連邦消費者センター連盟が出したコメントがふるっている。「政府の計画を歓迎する。電力自由化は邪道であり、計画的なエネルギー供給に回帰することが必要」―計画経済化を望んでいるようにも聞こえるこのコメントには驚きと戸惑いを感じざるを得ないが、電気代の急騰に加え、供給にも不安が出てきた状況にドイツ国民も困惑していることがうかがい知れる。(Frankfurter Rundschau、“Regierung will Stromengpass per Gesetz verhindern”(2012年9月21日付))
 太陽光発電導入量において、ドイツに次いで世界第二位となったイタリアにおいても同様だ。2011年、同国の火力発電設備の平均稼働時間は約3,000時間、稼働率は33.9%まで低下している。ガスコンバインドサイクルでいえば、設備固定費の回収に必要とされる稼働時間は年間4,000時間とされており、固定費回収が不可能になっていることが分かる。そのため稼働率低下により採算が悪化している火力発電設備に対し、実際に発電を行わなくとも待機状態を評価して報酬を支払う、「キャパシティ・ペイメント」の規定を盛り込んだ法律が2012年8月3日、議会で可決された。

 この制度の目的は太陽光や風力が急増した結果、卸電力価格の低下に伴う運転時間の減少によって経済性を失った火力、主として比較的最近建設された高効率のガス・コンバインドサイクル設備を救済することである。 想定される補助金額は経済界の予測で5~8億ユーロ/年、再エネ業界の予測で15億ユーロ/年とされる。誰がそれを負担するかが問題だが、経済界への配慮から、法律上「電力価格や料金の負担を増加させることなく」制度を導入することが定められているため、再エネ発電事業者が負担せざるを得ないと見られている。
 同様に、イギリスではEUの環境規制強化や発電所の老朽化により、2020年までに現在の設備容量の20%に相当する約1,900万kWの発電設備が廃止されると見込まれている。急務となっている供給力確保策として、2011年12月に容量市場の創設を発表した。
 この他、低炭素電源(原子力・CCS付火力・大規模再エネ)を対象に、差額決済契約に基づき発電事業者の固定価格での卸市場への販売を保証する(CfD:Contract for Difference)の導入が11月23日決定した。決定に至るまでの詳細は、先日の日本貿易振興機構ロンドン事務所長有馬氏の寄稿にある通りだ。
 再生可能エネルギーの導入を進めることは、温室効果ガスの削減や燃料費の節減、エネルギーの自給率向上など様々な意義がある。しかし、再エネそのものの導入にかかる費用、送電網の整備等の系統安定化対策費用に加え、安定的な調整電源の維持も必要になる。設備の節減を図ることはできないのだ。再エネ導入に取り組んだために、再エネが大量に導入されなければ見えてこない、見ずに済んでしまう問題に現在直面している欧州各国がこの状況をどう打開するのかは、今年の夏全量固定価格買い取り制度がスタートした我が国にとって大きな示唆を与えてくれるだろう。この世の中、足の速いウサギばかりが目立つが、ゆっくりと歩くカメには、ウサギがどのルートを通ってどこに行きどうなったのか、見極めてから効率良く行動することができる。先行するウサギの成功にも失敗にも学ぶカメでありたい。

9.ドイツの電力事情⑦ 電気料金の逆進性―低所得層への打撃―• 2013/01/24

 消費税と同じく電気料金は逆進性が高いと言われ、その上昇は低所得者層により大きなダメージを与える。ドイツの電力事情④において、ドイツの一般家庭が支払う再生可能エネルギー助成金は、2013年には3.59 ユーロセント/kWh から約 5 ユーロセント/kWh に 上昇し、年間負担額は185ユーロ(1万8500円)にもなると予測されていることを紹介した。再生可能エネルギーの導入量増加に伴って国民負担が増大し、政府の経済諮問委員会からも強い批判が出されて「再生可能エネルギー導入促進法(EEG)」の見直しが始まっているが、一言で「国民」といってもその状況は様々だ。先月17日にドイツのケルン経済研究所が発表した調査結果は(報告書URLは文末に記載)、国民のどういった層にどれだけの負担がかかるかを定量的にレポートしており、その趣旨に目新しさはないものの、電気料金を考える上で興味深い内容となっている。
  
 現在低所得層(所得の低い10%の層)が支払う再生可能エネルギーの賦課金は約6ユーロ/月、富裕層(所得の高い10%の層)は約7.2ユーロ/月である。それが2013年には低所得層で8.75ユーロ/月、富裕層で10.75ユーロ/月となる。収入の差に比して、この支払い金額の差はさほど大きくない。所得の高い10%の層が支払う再生可能エネルギーの賦課金は、その収入の0.2%程度であるが、所得の低い10%の層が支払う賦課金は収入の1.3%にあたると分析されている。さらに問題を深刻にしているのは、個人宅設置の太陽光の増加である。太陽光発電を個人宅に導入できるのは基本的に高所得者層である。所得の高い10%の層では、5世帯に1世帯の割合で太陽光発電が設置されており、その世帯では売電による収入を得ることができる。しかし、低所得者層でその恩恵に浴することができる世帯は稀であることも、この報告書は指摘している。
 電気料金の難しさはこの逆進性の高さにある。生活必需品であるが故に、節約にも限界があり、料金の上昇は特に低所得層の生活を直撃する。下記は日本における所得階層別の世帯数の相対度数分布だ。平均値は約550万ではあるが、その数字は一部の高所得世帯に引っ張られて上昇した結果であり、平均以下の世帯が実に6割以上を占める(図1。なお、平成23年調査結果も発表されているものの震災の影響で岩手、宮城および福島県は除いた数字であること、また、大きな数字の変化はないことから平成22年調査結果を掲載)。

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プロフィール

ゆきまつ

Author:ゆきまつ
幸松(ゆきまつ) 
   孝太郎(こうたろう) 
65歳
住所:名張市百合が丘西2ー86
職業:名張市議会議員(無所属)
家族:妻、二男一女の5人家族
座右の銘:
”Mastery for Service
(奉仕のための練達)”
「”社会の中で輝いた生き方”をするために!」

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