ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕

名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012-12-30 [ Sun ]
テーマ:文芸
2012年12月29日 読売新聞に掲載された「思いやり、謙虚…「虫食い」状態」のタイトルがついた文芸評論を紹介しよう。 登場するのは、津島佑子さん、楊逸さん、花村萬月さんなど

 17日の野間文芸賞の授賞式で、受賞作の山田詠美『ジェントルマン』に触れた選考委員の津島佑子さん(65)のあいさつは考えさせられた。

 「いわゆる文学作品は、不真面目だ。エンタメ系の人の方が、割と文学を信じている。純文学は、世間一般の人が文学的と思うものを破ろうとする要素を持っている」

 今月、「群像」に一挙掲載された津島さんの「ヤマネコ・ドーム」は、まさにそのような長編だった。

<ピシ ピシ ピシ ピシ>

 公園の木の枝にコガネムシが群がり、蝕むしばむような音をたてて葉を食べる。東日本大震災の後、原発事故の不安が残る東京へ外国から帰ってきた初老の緑色の目をした男が、それを眺める場面から始まる。

 男の名は、ミッチだ。終戦後、米兵と日本人女性の間に生まれ、同じ境遇の子を集めたホームに預けられた。3歳のときカズと一緒にママに引き取られる。彼らと幼なじみで母子家庭に育ったヨン子の3人の半生を軸に話は語られてゆく。

 運命を左右する事件は、8歳で起きた。ホームの少女が池で転落死し、彼らが関わったと噂うわさがたつ。その後も彼らは、日本での居場所がないかのように、各地を漂う。左翼運動の興奮と挫折に包まれるパリ、太古のシダが茂る南半球の植物園、かつて多くの漁師が命を落としたブルターニュの海辺――。

 例えば世間には、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」に代表される戦後の日本はみなで努力し、貧しさを乗り越えたという言い方がある。だが本作は、戦後社会が誤った「純粋」にこだわり、ミッチやカズのような存在を排除したのではないか。その先に、思いやり、落ち着き、謙虚さなど、人間に茂っていたはずの葉を虫食いにした今の社会があると投げ掛けてくる。

 日米の間に生を受けたヤマネコの仔こたちが抱えた深淵しんえんを、神話の語りごとを思わせる言葉でつづる物語の整わない剛柔濃淡が、胸に深く響いた。

 一方、短期連載が完結した楊逸さん(48)の「流転の魔女」(文学界、8月号~)は、拝金主義的な風潮が蔓延まんえんする中で金の意味を問う。主人公は、親の仕送りで日本へ留学した中国人学生だ。朝と昼食は500円以内に収め、授業後は飲食店で5時間バイトし4500円を稼ぐ。彼女は偶然、偽造カード使用の疑いで捕まった中国人の弁護人の通訳を1回、1万5000円で頼まれる幸運に恵まれる。

 物語の冒頭や途中では、人々の財布を「流転する魔女」、すなわち、貨幣が独白を始め、話をするような場面も挟まれる。一見、通俗すれすれの大陸的なおおらかさを帯びた会話は、金が金を生む社会に接するうち病的になり、次第に現代への痛烈な風刺に感じられてくる。

 池澤夏樹さん(67)の連載「双頭の船」(新潮、3月号~)も完結した。大震災の後で、被災地に中古の自転車を届けるためフェリーが向かう。住民の要望により船の甲板に仮設住宅が建ち、街が生まれる。復興の一つの形を探る知的なユートピア小説だった。

 今月は、ベテラン作家の短編シリーズの完結が続いた。

 小川洋子さん(50)の「いつも彼らはどこかに」(新潮、6月号~)は、街の片隅で生きる人々を収めた8編だ。「オリンピック開幕まであと○日」のカレンダーを毎朝めくる男性、動物園の土産物屋で動物のぬいぐるみを売る店員。ひっそり暮らす男女に拡大鏡をあて、意外な模様や営みを浮かび上がらせる。

 過剰と欠落を抱えた魂の風景を「赤」「黄」などの色に託し、花村萬月さん(57)が「文学界」2010年1月号から続けた連作も、8編目の「茶」で堂々の大団円を迎えた。正面から母の死と向き合えない愚かな息子の姿を私小説風に書き、虚無を装う裂け目から、自分を産み落とした者を思う真心がのぞいた。

 「新潮」の創作特集「新しい世紀にデビューした作家たち」は、15人の短編を掲載し、華やかだ。西村賢太さん(45)の「感傷凌轢りょうれき」は、絶縁状態の母をめぐる一編。愛する者に鞭むちを振るい、赤い創作の炎を燃やす私小説作家の業は健在だ。(文化部 待田晋哉)

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ctj07146.blog33.fc2.com/tb.php/1232-aef889ff

 | HOME | 

2017-07

  • «
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • »

義援金募集

FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

プロフィール

ゆきまつ

Author:ゆきまつ
幸松(ゆきまつ) 
   孝太郎(こうたろう) 
65歳
住所:名張市百合が丘西2ー86
職業:名張市議会議員(無所属)
家族:妻、二男一女の5人家族
座右の銘:
”Mastery for Service
(奉仕のための練達)”
「”社会の中で輝いた生き方”をするために!」

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。