ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕

名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長

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2012-10-25 [ Thu ]
テーマ:市民活動団体
 政策研究ネットワーク「なら・未来」が、来年7 月に行われる「奈良市長・市議会議員選挙」が迫ってきたことにより、奈良市政が抱える構造的な課題を抜本的に解決するための「マニフェスト選挙」にしなければならないということで、政策提案する内容が発表されましたので紹介しよう。

1.ごあいさつ
政策研究ネットワーク「なら・未来」では、かねてから奈良市政の危機的な状況に警告を
発してきました。2010 年の9 月には、奈良市第4 次総合計画への対案『「世界の環境首都・
奈良」構想』において、「政策・施策の選択と集中化」によるプロジェクト型の戦略的総合
計画の策定をうながすとともに、市民の参加と協働による市政運営の推進・強化を行政・議
会に提案しました。また昨年12 月には市長の奈良マニフェストに関連する政策・施策を「政
策・施策の選択と集中化」、「環境と経済の連動化」、「市民自治の強化」の視点から検証・評
価をおこない、現状施策の問題点や課題を明らかにするとともに代替案も提示しました。
その間、議会では議長選を巡る不祥事が発生しますし、一方の行政機構でも職員の公金横
領等の不祥事が続発するという、主権者である市民の誇りが大きく傷つけられる実に嘆かわ
しい実態があきらかになりました。議会では議会制度検討特別委員会が発足して改革への取
り組みが進められていますし、行政においても不祥事等にかかわる数々の検討委員会による
解決に向けた検討が進められています。このような議会・行政の努力を大いに評価したいと
思います。しかしながら議会・行政の一連の取り組みを評価しながらも、市政の根幹にかか
わる構造的、あるいは体質的ともいえる課題を抜本的に解決することに結び付くのかどうか
は、はなはだ疑問です。
市政がかかえる構造的な課題を列挙しますと、①難題の解決を先送りしない責任ある意思
決定がおこなわれるための市上層部のリーダーシップ体制をどのように確立するのか、②借
入金残高3,100 億円(平成22 年度末)、111 億円の歳入不足(平成23 年度~27 年度)とい
う財政危機をどのような方法で突破するのか、③公金横領等の職員不祥事を生み出す閉鎖的
な行政組織風土の体質をどのような方法で改革をするのか、④市民参加の充実・強化と協働
による市民自治型の市政運営(自治体運営)システムをどのようにして確立するのか、など
をあげることができます。これらの課題は、市民・行政・議会が明確な役割分担のもとに一
丸となって取り組まなければ解決が不可能なものばかりです。
「なら・未来」では、議会改革にかかわる提案として『新生奈良市議会の創造に向けて~
「市民の議会」の実現を~』を4 月28 日に発表し、議長に提出しました。『奈良市政の抜本
的な改革に向けて』の本提案は、この5 月から8 月にかけて開催しました『行政改革市民会
議「行政課題を検討する」シリーズ』で検討した内容を踏まえながら、行政向けの第2 弾と
してまとめあげたものです。
奈良市長・市議会議員選挙が迫ってきました。来年7 月の選挙は、奈良市政が抱える構造
的な課題を抜本的に解決するための「マニフェスト選挙」にしなければなりません。また選
挙を契機に“新生奈良市”が誕生しなければなりません。本提案がそのための一助になれば幸いです。
2012 年10 月20 日
政策研究ネットワーク「なら・未来」
代表幹事 木原勝彬
p.3
2.目 次
提案1:
“立ちあがろう 市民・行政・議会!”
『財政非常事態宣言』のもとで一丸となって財政危機を突破しよう! P 4
提案2:
“立ちあがろう 市議会議員!”
「行財政改革緊急特別委員会」(仮称)を設置して議決責任を果たそう! P 6
提案3:
“奈良市民みんなの問題だ!”
クリーンセンター、新斎苑場のあり方を市民討議会方式で検討しよう! P 8
提案4:
“立ちあがろう 奈良市職員!”
不祥事を生みだす閉鎖的な行政組織を市民参加で改革しよう! P 11
提案5:
“市民は主権者”という視点で市民参加の充実・強化を図ろう! P 14
提案6:
“共に学び・共に育ち・共に変わる”をモットーに、協働関係を再構築しよう! P 19
提案7:
“地域のことは、地域で決定し、地域で責任をもって実行する”という、
小学校区からの地域自治の仕組みづくりに挑戦しよう! P 24
p.4
3.具体的な提案
提案1:“立ちあがろう 市民・行政・議会!”『財政非常事態宣言』のもとで一丸となっ
て財政危機を突破しよう!
-財政危機を突破するためには、主権者である市民と行政・議会が財政危機を共有した上で、官民一体
となって行財政改革に取り組む以外に危機を打開する道はない。そのためにも、市長は財政破綻に至ら
せない決意表明である『財政緊急事態宣言』発すると共に、市民が参画する「奈良市財政危機突破委員
会」(仮称)を設置して抜本的な行財政改革に着手すべきである。「なら・未来」では8 年前の2004 年7
月の奈良市長選挙の時に、市民から立候補予定者に提案した「市民マニフェスト」の中で『財政緊急事
態宣言』を出して行財政改革に取り組むべきだと提案している。
奈良市の財政は危機に直面している。抜本的な行財政改革の先送りや無責任な目標管理により平成22
年度(2010 年度)末で、経常収支比率95.8%、将来負担比率209.4%、市全体の借入金残高約3,100 億
円という持続不可能な財政状況に陥っている。
また、奈良市第4 次総合計画の策定時における政策・施策の「選択と集中」が徹底しておこなわれな
かったために、平成23 年度(2011 年度)から27 年度(2015 年度)にかけての財政見通し(前期基本計
画の実施計画で算定)で総額77 億円の収支不足が見込まれている。そのうえ、不適切な土地取得が問題
となった土地開発公社や経営感覚が欠落していた駐車場公社の解散による借入金返済額である34 億円が
加わると、平成23 年度から27 年度の5 年間で合計111 億円の収支不足という危機的な事態に陥ってい
る。以下に『財政緊急事態宣言』の下で検討すべき、あるいは取り組むべき内容を述べてみる。
■第4 次総合計画前期基本計画・実施計画の見直しを
従来からの総合計画は総花的であるだけではなく、縦割り行政の弊害である施策や事務事業の量的拡
大や重複化が避けられず、税収減少と社会保障コストの増大による財政逼迫への対処が大きな課題とな
っていた。奈良市の財政危機からしても第4 次総合計画の策定に当たっては、政策・施策の「選択と集
中」による事務事業の縮減・整理を徹底しておこなうべきであったが、そればなされなかった。平成23
年度から27 年度の財政見通しで総額77 億円が不足するのはそのためである。
いま求められる取り組みは、第4 次総合計画前期基本計画の政策・施策・事務事業の徹底した見直し
作業を、議会の「財政危機突破特別委員会」(仮称、後述)と市民が参画する「奈良市財政危機突破委員
会」(仮称、後述)でおこなうことではないのか。
■第5 次行財政改革大綱・実施計画の見直しを
奈良市の行財政改革は昭和60 年(1985 年)に始まるが、過去の行財政改革大綱・実施計画(第1 次か
ら5 次)を分析すると以下のようになる。
◆推進事項(計画内容)、計画内容の進捗状況、あるいは目標達成等にかかわる厳格な検証・評価がお
こなわれず(内部評価で済まされてきた)、抜本的な行財政改革が先送りされてきた。
◆第1 次行政改革大綱の策定以来、一貫して、市民が参加する第三者委員会を設けずに行政内部の行
財政改革本部(市長が本部長)で改革大綱・実施計画を策定してきた。
◆「官民の役割分担」、「補助金の見直し」、「受益と負担の関係」等の市民にかかわる、あるいは行財
政改革の根幹にかかわるテーマについて、市民との間の本質的な議論を避けてきた。
p.5
◆マニフェスト・総合計画・行財政改革大綱の相互の位置付け、機能分担等が明確ではない。
◆第5 次行財政改革大綱・実施計画(策定:平成24 年(2012 年)3 月、計画期間:平成23 年度(2011
年度)~平成27 年度(2015 年度)、5 年間)も、第三者委員会を設置せずに行財政改革本部で策定され
た。本大綱では行財政改革の推進等をチェックする市民参加の行財政改革促進会議(仮称)が設置され
ることになっているが、「奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例」第2 条に規定される企画段階
からの市民参画(市民から意見を求めるパブリックコメントはあったが)への積極的な取り組みはなさ
れなかった。それがために、実施計画の取り組み内容も具体性に欠けるものが多く、市民と財政危機を
共有し、明確な役割分担で官民一丸となって取り組まなければ財政危機は突破できないという危機意識
に乏しい行財政改革大綱・実施計画となっている。
以上、奈良市のこれまでの行財政改革の問題・課題を整理したが、市民が参加する「奈良市財政危機
突破委員会」(仮称)で取り組むべき第5 次行財政改革大綱・実施計画の見直しにかかわる内容を整理し
ておく。
①官民の役割分担(民営化、民間委託、PFI、指定管理、協働、市民自治等)にかかわる基本方針
の策定と、それを踏まえた自治体運営(経営)基本方針の確立
②「事業・業務の総点検」(平成24 年3 月28 日)の検証・評価も含め、①を踏まえた実施計画の策定
③補助金の見直の基本的方針の策定と、それを踏まえた実施計画の策定
④受益と負担の関係の基本方針の策定と、それを踏まえた実施計画の策定
⑤財政計画(平成25 年度~29 年度)の策定と、それに対応する収支不足対策
⑥借入金残高が約3,100 億円(平成22 年度末)の長期返済計画の策定
■「奈良市財政危機突破委員会」(仮称)の創設を
第4 次総合計画前期基本計画・実施計画と第5 次行財政改革大綱・実施計画の見直しを主な活動内容
とする「奈良市財政危機突破委員会」(仮称)の概要を説明する。
①目的と性格
『財政緊急事態宣言』に則り、奈良市の財政危機を克服するための方策を検討する第三者委員会。
②位置付け
市長の附属機関(地方自治法(昭和22 年法律第67 号)第138 条の4 第3 項の規定)とする。
③構成員
・委員長:首長経験者
・委員:公募市民、自治連合会、市民団体、NPO、経済団体関係者、学識者(行政学、弁護士、
公認会計士等)で構成。
・20 名以内
④活動内容
第4 次総合計画前期基本計画・実施計画と第5 次行財政改革大綱・実施計画の見直しをおこなう。
⑤運営方法
・分科会を設置し検討する。
・各分科会に行政関係部署の課長、係長、公募職員、コンサルタント等が参画する。
⑥活動期間:平成25 年9 月~26 年8 年の1 年間とする。
p.6
提案2:“立ちあがろう 市議会議員!”「行財政改革緊急特別委員会」(仮称)を設置して
議決責任を果たそう!
-財政危機の責任を執行部に押し付けるだけでは、議決機関としての責任は果たしたことにならない。
執行部の「奈良市財政危機突破委員会」(仮称)に呼応する形で、議会に「行財政改革緊急特別委員会」
(仮称)を設置し、議会としても財政危機突破の方策を検討し市民に提示する必要がある。
■議会に「行財政改革緊急特別委員会」(仮称)の設置を
財政危機の主な要因として、執行部による規律を欠いた財政運営、あるいは抜本的な行財政改革の先
送などを挙げることができるが、そのような執行機関に対して監視・統制機能を有効に働かせられなか
った議会の責任も大きい。財政がここまで逼迫してきている現状において、一方的に執行機関にその責
任を追及するだけでは市民の代表機関としての責務を果たしたことにはならない。財政危機を乗り超え
るための行財政改革案を議会として提示することが求められている。
そのためにも、「奈良市財政危機突破委員会」(仮称)に対応する形で、議会に第4 次総合計画前期
基本計画・実施計画と第5 次行財政改革大綱・実施計画の見直しをおこなう「行財政改革緊急特別委員
会」(仮称)を設置して、財政危機突破方策を検討する必要がある。
■予算・決算の審議方式を改革して奈良市の財政危機を乗り越えよう
1.予算・決算の審議に当たっては、専門家や市民の協力を得るシステムの確立を
奈良市は平成22 年度末で借入金残高が約3,100 億円、平成23 年度から27 年度にかけての5 年間の歳
入不足が111 億円と見込まれている。また平成22 年度の経常収支比率は95.8%、将来負担比率209.4%と
いう数値にみられるように奈良市財政は危機的な状況にある。
このような状況をもたらした要因は執行部の財政規律を欠いた財政見通しの甘さもさることながら、
財政をチェクする議会の専門能力の不足、あるいは外部の専門家を入れた財政チェックシステムの構築
を怠ったことにその要因があるのではないだろうか。執行部に対する財政監視力を強化するためにも、
予算・決算の審議に当たっては専門家や市民の協力を得るシステムを構築する必要がある。
2.予算・決算常任委員会で事務事業評価をおこない、それを翌年度の予算編成に生かそう
執行部から事前に議案(予算案)を説明する内示会の開催は本会議の1週間前に設定される。1 週間程
度では予算案を検討する時間的な余裕がないし、その段階で議案はほぼ完成しているので検討の余地は
少ない。
そこで、9 月定例会の決算審査と翌年度予算の検討との一体化を検討する必要がある。予算・決算常任
委員会の設置が決定されたのを機に、市民や専門家の参加による決算審査と翌年度予算を検討する仕組
みを検討する必要がある。決算審査に当たっては、議会独自の事務事業評価手法(マニフェスト、総合
計画・基本計画の実施計画の進捗度評価とも連動、行政の「事業・事務の総点検」を活用する方法もあ
る)を開発して審査をおこない、事務事業評価結果を翌年度予算の編成に生かすべきだ。予算編成権が
長に専属するとはいえ、より市民ニーズを踏まえた予算編成がおこなわれるためにも議会の関与が不可
欠であるし、議会として予算・決算に責任をもつということの意義は大きい。
p.7
■議会は、総合計画に責任をもとう
1.「総合計画検証・評価特別委員会」を設置して、議会としての検証・評価をおこなおう
「行財政改革緊急特別委員会」(仮称)の設置とも関連するが、「奈良市行政に係る基本的な計画の
議決に関する条例」の趣旨からしても、議会は総合計画に責任を持つべきだ。
議会に求められるのは、市長マニフェストとの整合性も踏まえながら基本計画・実施計画の進捗・執
行状況のチェックと、計画化されている政策・施策の選択と集中化の検討である。そのためも、「行財
政改革緊急特別委員会」(仮称)を引き継ぐ形で基本計画・実施計画の進捗状況も含め事業内容等を検
証・評価するための「総合計画検証・評価特別委員会」を設置する必要がある。いうまでもないが、こ
の取り組みは前述した「予算・決算常任委員会」での予算・決算の一体的検討と連動させる必要がある。
2.総合計画の策定と運用に関する条例(総合計画条例)を制定しよう
地方自治法の改正で基本構想作成の法的義務がなくなったが、自己決定・自己責任という地方自治の
原理・原則からも、また市が直面する内外環境の厳しさ、あるいは不確実性を増す将来見通し、まして
や危機的な財政事情等を勘案するならばなおさらのこと、総合計画に根差した計画行政を推進する必要
がある。そのためにも、「奈良市行政に係る基本的な計画の議決に関する条例」を包含する形で、奈良市
独自の基本構想・基本計画・実施計画で構成される総合計画の策定や運用のあり方、計画策定における
市民参加のあり方などを盛り込んだ総合計画条例を制定する必要がある。
p.8
提案3:“奈良市民みんなの問題だ!”クリーンセンター、新斎苑場のあり方を市民討議会
方式で検討しよう!
-積年の懸案事項であるクリーンセンターと新斎苑の整備にかかわる問題が、未だ、決着をみていない。
歴代市長のリーダーシップ力の不足がその要因であることは間違いない。ゴミや火葬場・墓地の問題は
すべての市民に深くかかわる“奈良市民みんなの問題”であるのに、限られた関係者(行政、審議会、
関係する地域住民等)の問題として扱ってきたことがこの事態を招いているのではないのか。今求めら
れる市上層部のリーダーシップは、この2 つの問題を“奈良市民みんなの問題”として市民ぐるみで学
習し、議論し、解決方策を検討する市民討議会方式の導入を決断することではないのか。
市民討議会については、「提案5:“市民は主権者”という視点で市民参加の充実・強化を図ろう!」
の中で説明しているが、専門家、あるいは関係者の意見を聞きながら無作為抽出で選ばれた市民委員が
学習と討議を重ね、また市民への説明会、フォーラム開催等を開催して市民の積極的な巻き込み(イン
ボルブメント)をおこなって、最終的に市長・議長に検討結果を答申するという方式である。
この方式は、2005 年の千代田区の試行実験後の2006 年に三鷹市でモデル開発されたもので、三鷹市と
三鷹青年会議所が実行委員会を立ち上げ、子どもの安心・安全をテーマに、18 歳以上の三鷹市民から無
作為抽出で52 名を選抜し、2 日間、テーマにかかわる情報提供を得ながら小グループ(1 グループ5~6
名)で計4 回の話し合い(1 回に話し合い60 分)をおこない、最後に市民提案として三鷹市長に提案す
るという流れでおこなわれた。昨年の10 月29 日(土)と30 日(日)には、第4 次総合計画の策定にか
かわる「みたか まちづくりディスカッション」として開催された。
無作為抽出による市民討議会方式ではないが、東京都狛江市においては、1991 年にリサイクルセンタ
ー建設にともなう用地選定に際して「狛江市一般廃棄物処理基本計画策定委員会(寄本勝美委員長、市
民委員12 名、専門家委員6 名、こまえごみ市民委員会)が、学習会の積み重ねや、アンケート、住民ヒ
アリング、シンポジウム、駅前で市民がごみについてショートスピーチする「こまえごみ100 人スピー
チ」など丁寧な市民参加方式を採用してり候補地を選定して答申した事例もある。(寄本勝美編『市民主
権の地方自治 公共を支える民』)
p.9
■市民討議会の特徴と課題
市民討議会の特徴や課題について、篠原一編『討議デモクラシーの挑戦~ミニ・パブリックスが拓く
新しい政治~』の「第5 章 市民討議会-日本の政治文化を拓く」(篠藤明徳)を参考にしながら整理し
てみる。市民討議会を開催する場合の原則としは、①参加者の無作為抽出、②参加者への謝金の支払い、
③公正・公平な運営機関、④参加者による小グループ討議、⑤報告書の公表などである。
一方市民討議会の特徴としては次のことがいえる。①無作為抽出による市民委員の選出により、日頃、
審議会・委員会などの公募委員制度などの市民参加制度を利用したことのない市民が多く参加し、専門
家からの情報提供による学習を重ね、また小グループでの話し合いを重ねてその結果を意見として答申
するのであるから、その答申結果は「熟慮された意見」として重みをもつことになる。②学習プロセス、
検討プロセス等に多くの市民を巻き込むことにより、“市民みんなの問題”との認識の共有化が図れる効
果は大きい。
課題としては、無作為抽出により選出された市民の構成が「社会の縮図」となっているかという市民
委員の選出方法にかかわる課題である。それに対しては年齢や居住地別に無作為抽出を行う方法や参加
承諾者から社会的属性を考慮して参加者を選択する方法も検討されている。また市民委員が一定の期間、
委員会活動に時間を割くことが出来るかという問題や、参加者が十分な情報提供を受け、討議を繰り返
していくことができるかなどの問題もあるが、2010 年末で試行錯誤を繰り返しながらも全国で156 事例
がある。
■新斎苑とクリーンセンターのあり方を市民討議会方式で検討しよう
新斎苑とクリーンセンターの市民討議会方式による検討について述べてみる。
①.新斉苑の検討
新斎苑とクリーンセンターの市民討議会方式による検討について述べてみる。新斎苑場の建設につい
ては、候補地であったドリームランド跡地が地権者との話し合いがうまくいかずに白紙に戻った。候補
地としては他に数ヶ所あるとのことであるので、下図の市民委員会で、多面的な検討のもとに数ヶ所の
候補地(含む現有地)の中から、一ヶ所に絞り込む作業をおこなって、市長・議長に答申してはどうか。
その際、用地選定だけではなく、施設のあり方、施設内容、建設費用の問題等も検討項目にする必要が
ある。
②.クリーンセンターの検討
クリンセンタークリーンセンターは、現在、「奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会」(委員
長:渡邊信久)で検討が重ねられている。平成18 年2 月の第1 回策定委員会から数えて、この6 月27
日の委員会で実に47 回目の開催となっている。昨年の3 月2 日には、平成19 年11 月の中間報告で示さ
れた15 か所の候補地を「川上町、中ノ川町地内」と「中の川町、東鳴川町地内」の2 か所に絞った「奈
良市クリーンンター建設候補地の選定について」の報告が仲川市長宛てになされた。
候補地が決定されていない現段階において、候補地周辺の住民、あるいは周辺3 ヶ寺から建設反対が
表明されると共に、候補地にアクセスする国道369 号線の4 車線化の要求が東部地区自治連合会協議会
から出ている。市としては道路改良、一部の道路拡幅等で地元の了解を得たいとのようであるが先行き
は不透明である。
p.10
このケースも、例えば、委員会が平成20 年4 月に15 か所から9 か所に絞り込んだ9 つの候補地を市
民討議会の検討候補地として市民の討議に付してはどうか。現クリーンセンター用地は移転を前提とし
た公害調停案件でもあるので候補地の検討から外すとしても、市民討議の検討に関連する施設としての
扱いとなることはいうまでもない。
検討に当たっては、候補地の選定に限らず、奈良市のゴミ減量の実態を市民が学ぶと共に施設のあり
方、施設内容、建設費用の問題等も検討すると共に、これからのライフスタイルのあり方等も検討に含
める必要がある。
6 年に渡り検討を重ねてきた「奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会」からすれば、「何を今さ
ら」、「今までの議論の積み重ねをどうしてくれる」との意見もあるかと思うが、市民討議会の開催は、
市民のゴミ問題に対する関心を高めることに結び付くだけではなく、長い目でみれば市民自らが、自分
たちの問題を、自分たちで議論し、自分たちで決定するという市民自治に根差した民主主義の活性化に
結び付くものと思われる。
丁寧な市民参加による市民討議会で、市民ぐるみで
学習し、議論し、解決方策を検討しよう!

 市民討議会の流れを簡単に説明すると次のようになる。①「主要政策・対立政策白紙化」となってい
るが、クリーンセンターの建設候補地6 か所を前提(新斎苑場用地は、現在、白紙となっている)の決
定を市長がおこなう。②市民討議を運営する中立的実施機関を選定し、奈良市と運営費の委託契約を締
結する。③中立的実施機関は、この市民討議による取り組みを市民に広くPRする広報活動を展開する。
④併せて、18 歳以上の奈良市民から無作為抽出で一定数の市民(1000 人以上)を抽出し、その中から約
50 名程度の市民委員を選抜し市民委員会を発足させる。⑤委員会が発足すると、テーマにかかわる学習
会、現地学習、事例調査等を専門家の助言を得ながら実施する。市民委員会の議論については、は5~6
名の小グループに分かれて議論(メンバーの入れ替え)を重ねる。⑥広く市民との情報共有、あるいは
意見を求めるためのアンケート調査の実施、意見交換会、ワークショップ、シンポジウム等を開催する。
以上の取り組みを経て、⑦利害関係者・行政等へのヒアリングをおこない答申内容の検討をおこない、
最後に⑧市長・議長の市民答申(報告書)を提出し、市民に公表する。
p.11
提案4:“立ちあがろう 奈良市職員!”不祥事を生みだす閉鎖的な行政組織を市民参加で
改革しよう!
-不祥事が発覚する度に「検討委員会」を立ち上げて再発防止に向けた検討がなされているが、対応が
個別的であるだけではなく、時間的な制約もありどうしても限定的な解決方策にならざるを得ない。今
求められているのは、行政機構そのものに内在する不祥事を生み出すような構造的・本質的な要因の解
明であり、それらの要因を除去するための長期的展望に立った人材育成のあり方の検討である。市民の
ためにやる気を出して働いてくれる、改革志向をもった能動的な職員が育つ行政組織風土づくりを市民
との協働で取り組む必要がある。
相次ぐ職員の不祥事…ここ数年だけを見ても毎年何らかの不祥事が発生している。しかも、盗撮や飲
酒運転のような多分に属人的要素の強い問題だけでなく、公金着服のような組織ぐるみとも考えられる、
しかも極めて重大な犯罪が繰り返し起こっているのが大きな特徴である。セクハラや市営住宅の家賃滞
納なども単に個人の問題ではなく、不正を許す組織風土が背景にあるのではないか。
組織風土に関する職員の声として、「ベテラン職員が慣例に従うだけで新しい意見を取り入れない」
「担当職員に責任を押しつける」「問題を認識して声を上げても、上司が取り上げないどころかその職
員が不利益を被る」など、上司の事なかれ主義を批判する声が目立つ。また、「職員が個人や一部の組
織内で問題を抱え込む」「強い者には弱く、弱い者には強く」など、職場の風通しの悪さを指摘する声
も多い。
奈良市の行政組織風土の問題点としては、①無責任体質、②公僕意識の欠如、③“出る杭”が打たれ
る風土、④信頼関係の欠如、⑤情報の偏在などをあげることができる。そのためにも、①職員の当事者
意識の高揚、②風通しのよい職場づくり、③市民と共に歩む姿勢の醸成などの行政組織風土の改革に向
けた課題解決が求められている。
■総合計画・行財政改革大綱と連動する人材育成を
提案1と関連するが、奈良市の職員には行財政改革への果敢な取り組みによる財政危機の突破力が期
待されている。やる気のある強い改革志向をもった人材が求められているのである。
組織の自己変革力に欠ける現行の閉鎖的な組織風土の体質改善・改革は、人事評価制度の導入、職員
養成塾等の人事政策のみでは限界で、提案1で述べた総合計画や行財政改革の遂行と連動する人材の育
成を検討する必要がある。つまり、総合計画を行政活動の核にすえて行政統制(計画行政)をおこなう
と共に、行財政改革大綱の推進を通じて効果的・効率的な行政運営を実現するという流れを担う人材の
育成ということである。
■人材育成基本方針を市民参加でつくろう
本来、「こういう職員像を目指す」というビジョンのない人事評価はあり得ない。評価とは、本来あ
るべき姿に対してどの程度近づけているかを判断するものである。かつて第3 次行財政改革大綱(平成
12 年(2000 年)策定)及び第4 次行財政改革大綱・実施計画(平成16 年(2004 年))には人材育成基
本方針の策定が計画されていたが、平成18 年(2006 年)の第4 次行財政改革大綱以降は割愛されている。
現在、職員の能力・業績等を生かし、より高い成果をあげるために公正かつ納得性の高い、目標管理
p.12
による実績評価と能力評価を軸とした人事評価制度の導入が試行されているが、制度を本格導入する前
に、これからの職員像や職員の能力・資質、人事・研修制度等にかかわる体系的かつ計画的な人材育成
基本方針・人材育成実施計画を策定すべきである。その際、若手職員を中心としたプロジェクトチーム
を編成して、同チームの主導により全庁体制で議論しながら「あるべき職員像」をつくり上げていくこ
とが必要であり、策定作業の中に市民参加の仕組みを組み込む必要がある。
■市民に信頼される職員像とは
「あるべき職員像」の検討に当たり、行政との日頃の付き合いで職員に感じていることを述べてみと、
「市民やNPOなどから持ち込まれるアイディアや政策提案を、「ありがたい」という感謝の気持ちで受
け取って欲しい」、「市民やNPOなどが開催する研究会やフォーラムなどに積極的に参加して欲しい」、
「先進的な事例を学ぶために、関連するフォーラムや研修会などに積極的に参加して欲しい」、「行政内
でのセクションを越えた学習会、研究会などを積極的に立ち上げて欲しい」、「「協働という名の、行政に
よるNPOの下請け化」が進行しているが、あらためてNPOと行政の協働の意義と目的について考え
て欲しい」、「自治会などの地縁組織、NPOなどで構成される市民社会を再認識して欲しい」、「当事者
として、ボランティア活動やNPO活動に参加して欲しい」「市民自治の時代にふさわしい自治体像を検
討して欲しい」ということになる。
以上を踏まえながら、市民やNPO等に信頼される職員像を整理すると以下のようになる。
①市民の信託にもとづく自治体政府の職員であることを自覚し、主権者である市民や、NPOなどの
意見や提案に耳を傾ける「主権者尊重型職員」
②外部の研究会、研修会、フォーラムなどに積極的に参加して、自らの政策能力を高める努力を怠ら
ない「政策力強化型職員」
③「市民社会が行政を支え、行政が市民社会を支える」という、市民社会の価値を認識し、市民社会
と行政の支えあいの関係を重視する「市民社会支援型職員」
④協働の目的が市民自治の強化、市民社会の強化にあるという認識をもって、協働の現状の改善に努
力する「協働型職員」ということになる。
以上をまとめると、従来からの行政中心、行政主導の自治体運営を抜本的に改革して、市民自治の時
代にふさわしい自治体再構築をめざす市民社会重視型の改革志向をもった職員というのが、市民・NP
O等が期待し信頼する職員像ということではではないだろうか。
■人事評価制度の検証をオープンな場で
学識者と部長級による「人事評価制度検討委員会」と、課長補佐・係長級によるワーキンググループ
を設置して人事評価制度の検討を行った、また職員アンケートも行ったということだが、幅広い職員が
参加して試行錯誤しながら制度を作り上げるというようなプロセスは踏んでいない。
結果的に、できあがった制度は岸和田市の仕組みをほぼそのままなぞったものとなっている。しかし、
岸和田市の場合はまず2001 年度に「個性を生かして人を育てる」を核とした人材育成基本方針を定め、
それを踏まえて4年がかりで本格導入した。その過程では、民間のコンピテンシー評価の仕組みを参考
に一から公務員向けの「簡易コンピテンシー」を開発するなど、職員が苦労を重ねながら制度をつくり
上げてきた。だからこそ一つ一つの仕組みにきちんとした意味があるし、それを職員に周知するのにも
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丁寧に時間をかけていた。「人事考課」という言葉ひとつとっても、なぜ「人事評価」ではないのかとい
う明快な理由づけがなされている。
このままだと、形式だけの導入で職員の理解と協力が得られない可能性が高い。特に目標管理制度は、
形だけ導入しても職員のやる気アップにつながらず、逆にノルマ管理の強化となってしまう例が民間で
も少なくない。課長級以上については今年度が試行ということなので、この試行結果についてオープン
な場で検証してはどうか。
■職員養成塾を「協働型職員研修」のモデルにしよう
岸和田市の仕組みでもう一つ特筆されるのは、人事考課制度と職員研修を連動させていることである。
能力考課の結果に応じて、得意分野をより伸ばせるプログラム、苦手分野を克服できるプログラムを選
びやすいように、研修計画表の中でどの研修メニューがどの考課項目と対応しているかを明記している。
奈良市についても、こうした取り組みは不可欠である。
特に、市長マニフェスト事業でもある職員養成塾は、「協働型職員研修」のモデルとして育てていくべ
きである。職員は市民の目に晒されることで自分の仕事の意義を再発見し、モチベーションを上げるこ
とができる。職員養成塾の中で市民と職員が共に考え共に学ぶことで、相互理解も深まる。
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提案5:“市民は主権者”という視点で市民参加の充実・強化を図ろう!
-自治体破産という最悪の事態も想定せざるを得なくなってきた奈良市の現状からすると、主権者で
ある奈良市民は安閑としてはいられない。市民が本気になって市政改革に立ち向かわなければならなく
なってきた。そのためにも、われわれが信託した政府(首長・行政機構と議会で構成)を主権者として
監視(チェック)し、統制(コントロール)する手段として市民参加を位置付ける必要がある。
「市民は主権者なので、自治体運営に最終的に責任を負わなければならない」、というのは自明の理で
ある。しかしながら、「民主主義の原理からすればそうかもしれないが、首長や議員を選んで自治体の運
営を任せているのだから、われわれに責任をもてといわれても迷惑は話だ・・・」、というのが二元代表
制民主主義に暮らす多くの市民の主権者意識の実態ではないだろうか。しかし、市長・行政および議会
に奈良市政をこのまま白紙委任して安心していると、市民はとんでもない結果責任を負うことになりそ
うだと感じる奈良市民も増えつつある。いよいよ「お任せ民主主義」とおさらばして、市民が市政に積
極的に関与する時がきているのではないか。
2009 年7 月、「奈良市市民参画及び協働によるまちづくり条例」(以下、「参画・協働」条例)が施行さ
れた。その第1 条には「この条例は、本市におけるまちづくりについての基本理念並びにその実現を図
るための市民参画及び協働に関する基本的事項を定め、市民、市民公益活動団体、事業者及び学校が行
う公益活動を推進するとともに、市民の市政への主体的な参画並びにそれぞれの主体による互いの立場
及び役割の明確な確認と尊重に基づいた協働により、個性豊かで魅力ある、多様性に富み、持続的発展
が可能な住みよいまちを実現し、これを将来に引き継ぐことを目的とする」と規定している。
以下、「参画・協働」条例の市民参画にかかわる内容等を踏まえながら、市民参加の充実・強化の方策
について述べることにする。但し、参画という表現は行政用語に限定し、本提案では従来からの市民参
加という言葉を使うことにする。
■市民参加を政府に対する市民の統制(コントロール)手段として位置付けよう
市民参加は社会の利益を増進させる政策の決定や実施に寄与する手段である。地方自治法に基づく参
加制度としては、「長・議員の選挙」、「議員・長・役員の解職請求」、「議会の解散請求」、「条例制定・改
廃請求」、「事務監査請求」、「住民監査請求・住民訴訟」などの直接請求制度や、条例に基づく市民投票
(住民投票)(奈良市は未整備)制度などがある。そして、以上の直接参加と共に重要なのが日常の行政・
議会活動への市民参加である。
行政にとっての市民参加のメリットとしては、市民ニーズ、あるいは地域ニーズを踏まえた政策・
施策の形成と決定が可能になるだけではなく、決定後の政策・施策の実施も円滑に進むことなどを
あげること出来る。しかしながら実態としては、行政にとって都合のいい、あるいは無難な決定を導
き出すための形式的な手続として、あるいは行政の決定を正当化するためのアリバイづくりとして市民
参加がおこなわれるケースも多い。「参画・協働」条例の第2 条は、市民参画とは「市の施策の企画立
案の過程から実施及び評価に至る各段階において、市民が主体的に参加し、意思形成にかかわる」
ことと規定している。この「企画立案の過程から実施及び評価に至る各段階」への市民参加で重要な
のは、政策形成と決定がおこなわれる「施策の企画立案の過程」での審議会・委員会等への参加である。
この審議会・委員会における市民委員の意見や発言等が、政策・施策の中味や政策決定の方向性を左
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右する程の影響力をもつためには、委員には①その立場を利用して「行政を変えてやろう!」という気
概をもつこと、②事前に関係者などへの情報収集をおこない、市民ニーズに根差した説得力ある意見表
明をおこなうこと、③審議事項にかかわる政策・施策の先進事例等を調査していること、④事務局から
提示される計画案、あるいは政策・施策案に対する代替案を準備していること、⑤市民への説明責任を
果たすためにも審議内容等を公表すると共に、それに対する市民から意見を求めることなどの能動的な
参加態度が求められる。
協働がもてはやされる一方で、市民参加がおろそかにされるきらいがあるのは問題だ。「参画・協働」
条例第4 条の「市は、市政に対する市民参画の権利を保障する」という規定にもあるように、市民参加
を主権者の権利として再認識する必要がある。そのためにも権利行使の一環として、審議会・委員会等
を活用して政策・施策の内容、あるいはその質を厳しく監視(チェック)し、市民の意思にもとづく政
策形成・決定がおこなわれるようにする必要がある。このように市民参加制度を主権者である市民の行
政統制(コントロール)の手段として位置付けることが求められる。同じことは議会と市民の関係につ
いてもいえることで、公聴会、参考人招致、請願・陳情等の参加制度を、主権者である市民の議会統制
手段として位置付ける必要がある。
行政・議会への統制(コントロール)手段として、参加制度を活用しよう!

■市民社会からの政策提案により政府を統制しよう
市民社会とは、政府の公共活動の領域・企業の市場活動の領域から独立したボランティア組織、NP
O、自治会などの市民による自発的な市民活動領域(市民的公共領域)のことを指す。この領域は、最
近の「新しい公共」といういい方で行政を補完する公共サービスの供給領域としてもてはやされている
が、市民の自由な言論と共同行為の可能性を秘めた領域として、また公共的な議論が形成される政府へ
の対抗性を秘めた領域として再評価する必要がある。
政府への対抗性にも通じる市民社会からの政府に対する統制をわかりやすく説明してみると、①市民、
ボランティア組織、NPO、自治会などが、地域の問題・課題の解決を話し合う意見交換の「場」を自
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主的に設け、②課題解決の方策等を市民同士で、あるいは専門家を招いて時間をかけて話し合い、③話
し合いの中で出された意見や提案などを提案書としてまとめ上げ、④それを市長や議長に正式に手渡す
という一連の行為のことを指している。「なら・未来」が主催した議会の権能・機能等を学ぶ市民の議会
学習の「場」、議会改革案を検討する政策提案の「場」としての「議会改革市民会議」、また市政が直面
する課題を検討する市民討議の「場」、市政改革を検討する政策提案の「場」としての「行政改革市民会
議」はまさにその事例といえる。このような取り組みはフォーラム、シンポジウム、円卓会議、研究会
等の開催を通じて既に市民社会ではおこなわれていることではあるが、討議だけで終わるのではなく政
府への政策提案がおこなわれることがポイントとなる。
行政議会
財政を学ぶ会
議会改革
市民会議
提案協働協働提案
市民社会多様な市民の声
マニフェスト
検証・評価
実行委員会
デモクラシーの学習会
政府への市民統制としての『市民会議』
行政改革
市民会議
市政の課題を市民が学ぶ「場」
課題解決方策を市民同士で話し合う市民討議の「場」
行政・議会に対案を提示する市民の政策形成の「場」

■「参画・協働」条例の市民参加制度を充実・強化しよう
行政が準備する市民参加の一般的な方法としては、「審議会等への市民公募委員」、「パブリック・コメ
ント手続き」、「公聴会、説明会、意見交換会の開催」、「市民会議の設置」、「ワークショップ」、「アンケ
ート調査」などがある。
「参画・協働」条例の第13条には「市は、市民、市民公益活動団体、事業者及び学校が、市の意思形
成過程、政策決定過程、政策実行過程、政策評価過程のすべてにおいて参画できる機会を充実させ」、
「市民、市民公益活動団体及び事業者が市政に多様な形で参画できるための仕組みを整備すること」が
規定されている。そして第16条には「審議会等への市民公募委員」、第14条には「公聴会、意見交換会」、
「パブリック・コメント手続き」が規定されている。
参加制度の問題としては利用する市民の側の問題と、制度を整備・運用する行政側の問題に大きく分
かれる。市民側の問題については、「1.市民参加を政府に対する市民の統制(コントロール)手段とし
て位置付けよう」で述べたことと関連するのでここではふれない。問題は、「奈良市行政は本気で市民参
加制度の充実・強化に取り組もうとしているのか?」ということである。
①.「まちづくり推進計画」における「市民参加の仕組みの整備」は
参加の質はおくとして、確かに「審議会等への市民公募委員」、「パブリック・コメント手続き」、「公
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聴会、意見交換会」への取り組みはなされているし、総合計画の策定における「まちづくり市民会議」
の開催、あるいは無作為抽出による市民判定員の参加による「事業仕分け」の実施(2010 年7 月3 日、4
日)などもおこなわれた。それでは、「参画・協働」条例の第13 条に規定する「市政に多様な形で参画
できるための仕組みを整備すること」が精力的におこなわれているとみていいのだろうか。
「参画・協働」条例の第18 条には、「市長は、市民参画及び協働によるまちづくりに関する施策を総
合的かつ計画的に推進するため、奈良市市民参画及び協働によるまちづくり推進計画を定めなければな
らない」としている。その「参画・協働まちづくり推進計画」(以下同様)の項目には市民参画の仕組み
の整備に関する記述がない。またこの「まちづくり推進計画」をみている限り、市民参画が協働に包摂
されてしまって協働イコール市民参画との印象を与えている。「参画・協働」条例にいう「市は、市政に
対する市民参画の権利を保障する」という視点からしても、また市民参加を政府に対する市民の統制手
段として位置付けようとする趣旨からしても「参画・協働まちづくり推進計画」における市民参加の仕
組みの整備の記述がないのは問題である。
②.市民からの政策提案を制度的に保障しよう
「市民社会からの政策提案により政府を統制しよう」で述べた、市民、ボランティア組織、NPO、
自治会などによる自発的な政策提案を行政は積極的に受けとめるための体制を整備すべきだ。奈良市を
取り巻く環境の著しい変化に対応するための政策形成、あるいは奈良市が直面する政策課題の解決や、
地域ニーズへの細やかな対応は行政組織の能力では限界で、奈良市民の叡智を結集して対応するべきだ。
そのためにも審議会等への公募委員とは別に、いつでも市民からの提案を受け付ける市民参加の体制と
して市民政策提案制度を整備する必要がある。
埼玉県和光市の市民参加条例(平成16年(2004年)1月1日施行)は、「市民が具体的な政策等を提案し、
その提案に対し、市の機関が意思決定を行うとともに、その提案の概要、市の機関の考え方等を公表す
る一連の手続」(第7条)として市民政策提案手続を規定している。市民政策提案の手続きについては、
対象となる政策や事項、提案者数、提案の検討方法、市民への公表の仕方など検討すべき点は多いが、
是非、第18条4項の「奈良市市民参画及び協働によるまちづくり審議会」で検討すべきだ。

和光市の市民政策提案手続き
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(市民政策提案手続)
第9条市民政策提案手続における提案は、年齢満18歳以上の市内に住所を
有する者が10人以上の連署をもって、その代表者から市の機関に対して対象
事項(第6条第2項に該当するものを除きます。)について行うことができます。
2 市民政策提案手続において、市の機関が政策等の提案を求めようとすると
きは、提案を求める政策等の目的、提案できる者の範囲、提案の方法その他
提案に必要な事項を公表するものとします。
3 市の機関は、提案のあった政策等について総合的かつ多面的に検討し、検
討結果及びその理由を提案した者(代表者がいるときは、その代表者)に通知
し、原則として公表するものとします。
和光市市民参加条例(2004(平成16)年1月1日施行
(市民提案できる政策等の範囲)
・市の基本構想や基本的な事項を定める計画の策定や変更
・市政の基本方針を定める条例や市民の義務や権利に関する条例の制定や改廃
・大規模な(おおむね5億円以上の)市民が利用する施設の建設
・市民生活に大きな影響がある制度の導入や改廃
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③.多様な参加メニューが保障される「参画・協働」条例に改正しよう
主権者の権利として市民参加の位置付けを明確にすると共に、市民参加を政府に対する市民の統制手
段として位置付けるためにも、「参画・協働」条例の市民参画にかかわる内容を補強する改正が必要であ
る。あるいは「参画・協働」条例とは別に、「市民参加手続条例」を独立させて制定する方法もある。
ⅰ主権者である市民の意見を尊重したいという思いで、市民参加手続きの整備を
改正に当たって参考になるのが高橋秀行・都澤慶『市民参加条例の運用と評価』である。これによれ
ば市民参加条例とは「行政による政策等の作成に対する市民の参加権を保障するために、行政に対し市
民参加手続きの実施を義務づける行政手続き条例である」と位置付けている。また市民参加条例の6 点
セットとして、①市民参加の対象事項のメニュー(対象となる事項、例えば総合計画、行財政改革大綱
等)、②市民参加手続き(市民参加の方法)のメニュー(審議会等への市民公募委員、パブリック・コメ
ント、市民会議等の参加方法)、③マッチング・ルール(対象事項と参加手続きの組み合わせ)、④第三
者機関の設置(公募市民を中心の市民参加の事前・事後評価機関)、⑤市民参加実施予定および実施状況
(実施結果)の公表、⑥市民政策提案手続(前述)をあげている。
奈良市行政に求められることは、どのような事項を、どのような参加手法の組み合わせで、いつ頃に
実施するかなどを市民に知らすと共に、参加実施の成果も公表するという、主権者である市民の意見を
尊重したいという思いが込められた丁寧な市民参加の手続きの整備である。

ⅱ討議民主主義の参加手法に注目しよう
市民参加の新たな動きである討議民主主義を踏まえた参加手法に着目する必要がある。討議民主主義
とは、「市民社会からの政策提案により政府を統制しよう」とも関連するが、市民社会を構成する多様
な主体(アクター)間での活発な討論や市民同士の意見交換である。フォーラム、シンポジウム、円卓
会議、研究会等を通じた開かれた自由討議を尊重する、あるいは自由討議に価値をおく民主主義のこと
をいう。そこでは、新たな考え方、意見、アイディア等が創出されるだけではなく、討議後の参加者の
考え方、あるいは政策選考の変容が生み出されるところに価値をおいている。また参加者の政策選考の
変容が対立するステークホールダー(関係者)の合意を生み出す可能性を高める効果も期待されている。
このように多数決に価値をおく代表制民主制を補完する、あるいは制度の限界を乗り越える可能性をも
つ民主主義として討議民主主義に対する期待と関心が高まっているのである。
討議民主主義を踏まえた実践手法には、民意の変容を世論調査で確かめる「討議型世論調査(DP)」、
社会的争点である科学技術のあり方を検討する「コンセンサス会議」、メンバーを入れ替えながらの小人
数で討議する「計画細胞会議(プラーヌンクツエレ)」、「市民討議会」などの手法がある。
「市民討議会」は、2005 年の千代田区の試行実験後の2006 年に三鷹市でモデル開発されたもので、三
鷹市と三鷹青年会議所が実行委員会を立ち上げ、子どもの安心・安全をテーマに、18 歳以上の三鷹市民
から無作為抽出で52 名を選抜し、2 日間、テーマにかかわる情報提供を得ながら小グループ(1 グルー
プ5~6 名)で計4 回の話し合い(1 回に話し合い60 分)をおこない、最後に市民提案として三鷹市長に
提案するという流れでおこなわれた。
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提案6:“共に学び・共に育ち・共に変わる”をモットーに、協働関係を再構築しよう!
-これからの自治体運営にとって、自治会などの地縁組織、NPO、事業者等と行政が力を出し合って
企画立案や事業を協働でおこなうことは重要である。しかしながら、協働のもとに行政責任が放棄され
るようなことになっては問題だ。公共活動を「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」に区分し、責任を
分担し合うシステムの構築が求められている。
2020 年を目標とする第4 次総合計画・基本構想(平成23 年度(2011 年度)~平成32 年度(2020 年度))
では「これからのまちづくりは市民参加から協働の時代に移りつつあります。行政主導ではなく、様々
な主体と協働しながら地域を担う「ひと」を育て、「まち」を創っていくことが不可欠です」と協働に
よるまちづくりを強調し、「市民がそれぞれの立場で行政と連携できる「仕組み」を整え、「まちの経
営」を協働により実現する体制を確立していく」必要があると高らかに協働を賛美している。また第5
次行財政改革大綱(平成23 年度(2011 年度)~平成27 年度(2015 年度))でも、効率性やサービスの
向上を目指した「市民との協働による行政経営」の必要性が述べられている。
また、「参画・協働」条例の前文において、「これからの奈良のまちづくりは、市民、市民公益活動団
体、事業者、学校及び市が力を出し合い、それぞれが市政に参画し、協働しながら行うことが大切です」
とし、第2条には「協働とは、市民、市民公益活動団体、事業者、学校及び市が対等な立場で、互いの特
性を尊重し認め合い、企画立案の過程から実施及び評価に至るまで、協議しながら共通の目的である公
共的な課題の解決のため共に取り組むことをいう」と規定している。
■協働は、「共に学び」・「共に育ち」・「共に変わる」がモットーだ
協働とは、公共活動の共通目標を達成するためにパートナーを尊重した対等の関係で共同事業を行い、
活動の成果を相乗効果的に創出させる戦略的、実践的行為である。また、協働活動を通じ、お互いの組
織や活動内容の刷新・向上をはかるための変革を前提とした行動原理であり、協働の関係主体には信頼
関係で結ばれた緊張感ある責任分担を前提に、「共に学び」・「共に育ち」・「共に変わる」という行動規範
が求められるのである。
■行政は市民の代行機構、協働に必要な7つのチェック項目
市民と行政の協働では「対等な関係」ということが原則となっている。市民・NPOが行政と対等に
力を出し合って企画立案や事業を遂行することは当たり前のことである。しかしながら協働が広がるに
つれて「協働は対等が原則といいながらも、行政主導によるNPOの安価な下請先化が進んでいる」と
いう問題が提起されることが多い。これは、行政からNPOへの業務委託費が極端に圧縮されて発注さ
れるケースが増えてきたことがその直接的な要因と思われる。しかしながら市民と行政の協働にかかわ
る本質的な問題は、「対等な関係」という協働原則の解釈が「行政は市民の代行機構であって、主権者
である市民とは本来的に対等ではなく、行政は市民の意思に基づいて行政活動をおこなわなければな
らない」という視点がおろそかにされていることである。
そのためにもNPO等の市民公益活動団体が行政と協働で企画立案や事業を遂行する時は、市民参加
と同様に協働を行政統制の手段に位置付けることが求められる。そして行政に対して①上から目線では
なく、お互いの特性及び自立性を尊重する姿勢や態度で臨んでいるか、②協働事業にかかわるあらゆる
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情報を開示して、情報の共有化に努めようとしているか、③協働の目的を明確にし、その共有化に努め
ようとしているか、④役割分担を明確にし、それにともなうお互いの責任を明らかにしているか、⑤事
業を進めていく過程で、報告・連絡・相談・調整等の丁寧な取り組みをおこなっているか、⑥事業の進
捗状況の報告等、第三者への説明責任を果たそうとしているか、⑦以上の項目が含まれる協働協定書(仕
様書、契約書)を作成しているかなどのチェック項目を確認して協働に着手すべきだ。
「参画・協働まちづくり推進計画」の実施計画をみてみると、平成22 年度(2010 年度)は68 事業、
平成23 年度(2011 年度)は58 事業が協働事業として計画書に掲載されている。これらの事業は担当課
から協働で取り組むべき事業として提示されたもので、事後の自己評価もおこなわれている。
自己評価項目の内容は上記の7 つのチェック項目と重なる項目が多いが、「協働相手からの意見と、行
政からの意見がかみ合っていない事業がある。協働の相手と市の間で感覚や意見の違いがあり、このま
までは心配な事業がある。両者での対話や、協働の相手からの声や要望をフィードバックする仕組みが
必要である」(平成24 年度第1 回奈良市市民参画及び協働によるまちづくり審議会 委員からの意見(概
要))との意見にもあるように、協働の相手側であるNPO等と行政との定期的な協働事業の検証・評価
作業を開催する必要がある。「市民は主権者である」との視点で、市民参加と同様に協働を行政統制の手
段に位置付けることにより、お互いの組織や活動内容の刷新、あるいは向上という変革効果が創出され
るのである。
■「行政領域」・「協働領域」・「住民自治領域」の確定を
参加と協働による自治体運営を進めるには、自治体の運営にかかわる関係主体の公共活動の役割分担
が必要である。そのためには公共活動領域を「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」に区分する必要が
ある。「行政領域」は公共活動を行政が責任をもって直接に担う領域であり、「協働領域」は自治会など
の地縁組織、NPO、事業者等と行政が連携・協力して取り組む公共活動領域である。そして、市民、
自治会などの地縁組織、NPOなどが責任をもって担う公共活動領域が「自治領域」である。
①.「事業仕分け」と「事務・事業の総点検」をどのように評価するか
平成21 年度と22 年度に「事業仕分け」がおこなわれた。平成21 年度は60 事業63 項目、平成23 年
度は32 事業37 項目が対象になり、「不要(廃止)」・「民間が実施」・「国・県が実施」・「市実施(民間委
託を拡大、市民参画・協働)」・「市実施(要改善)」・「市実施(現行どおり)」という6 分類に仕分けされ
た。この取り組みは判定に至る検討プロセスのあり方や検討時間が少ないなどの課題があるとはいえ、
公開でおこなわれると共に、市民判定員の参加もあったように事務事業の内容を市民に可視化した意義
は大きい。
しかしながら「事業仕分け」は準備に相当時間がかかりかつ対象事業に限りがあるとの理由から平成
23 年度は監査法人と職員による「事業・事務の総点検」に変更された。総点検では「徹底した無駄の削
減」、「経営資源の最適配分」、「職員の意識改革」を目的に、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の活
用を3E(経済性・効率性・有効性)の視点から点検がおこなわれた。そして、官民役割分担(民間委託)
に関する課題、間接業務に関する課題、人件費・人事制度関する6 点の課題が示されると共に、その改
善策とそれによるコスト削減の効果が示された。
「事業仕分け」はマニュアル化された手法を導入するので「仕分け」の基本的な考え方を事前に議論
する余地はなかったが、「事業仕分け」の経験を踏まえた「事務・事業の総点検」作業においては、総点
p.21
検の目的、視点等を市民や関係者が参加して検討する必要があったのではないか。市民参加と協働によ
る自治体運営のベースとなる作業であるならばなおさらのこと、当事者である関係主体が参加して検討
されるべきだった。

②.「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」の基本的な考え方
自治体運営における公共活動を、「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」に区分するための基本
的な考え方を確立しておく必要がある。考え方としては、①肥大化した「行政領域」の政策・施策・事
務事業の中で、市民、自治会などの地縁組織、NPOなどが責任をもって担う事務事業などを「自治領
域」に戻す(市民分権)、②行政責任は残るが、委託、指定管理等の事業手法を使って協働領域に外部化
したり、あるいは「行政領域」か「自治領域」かの判断が難しい活動や事業を「協働領域」で対応する
(協働領域で対応した後に「行政領域」か「自治領域」に区分けし直す)などして、③「行政領域」を
適正な規模に縮減し、確定するという一連の流れである。
各領域の区分けの基準、あるいは条件をどのように設定するかは非常に難しい。個別の案件毎に検討
するというのが基本となるが、重要なことの一つは肥大化した「行政領域」を縮減させることが行政の
責任放棄、あるいは責任転嫁に結び付くものであってはならないということである。もう一つ重要なこ
とは「自治領域」への区分けの意義は、市民の自治力を強化、あるいは市民社会を活性化するというこ
とに結び付かなければならないということである。
また「自治領域」を拡大するといっても、市民の自治力の現状に見合う領域移動とすべきであって押
し付けであってはならない。例えば、ある事業を「行政領域」から一挙に「自治領域」に移行するので
はなくて、協働事業で組織力、活動力を強化した後に「自治領域」に移行するなどの配慮が必要である。
また前述したように協働領域の確定は「行政領域」か「自治領域」かの判断が難しい活動や事業を「協
働領域」として扱うという考え方、また協働領域で対応した後に「行政領域」か「自治領域」に区分け
し直すというような柔軟な考え方が大切である。しかしながら3 つの領域の明確な線引きは難しく、社
会経済情勢、行政の財政事情、あるいは市民の自治の力量等にもよるという相関的、相対的なものなの
で、領域区分はあくまでも暫定的なものと認識して定期的に見直す柔軟な姿勢が重要である。
行政領域協働領域自治領域
行政領域・協働領域・自治領域の区分けをやろう!
自治領域の強化が目的だ!
肥大化した公共活動を自治領域に戻す委託、指定管理等
行政責任の明確化
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「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」の区分けは、財政危機による公共サービスの縮減や政策形成
能力の限界による政府の公共活動の減衰を誰が支えるのかという問題に行きつく。結局のところ「自治
領域」を拡大・強化して市民・市民社会が公共活動を支える以外に方法はないのである。
このことに関して「市民社会への分権や市民自治による管理をめざした社会分権型アウトソーシング
論」を提唱する今井照は「自治体行政組織からのアウトソーシングとは、政府活動の再編にほかならず、
元をただせば、市民からの信託を再構成することにほかならない」、「その基礎には市民からの信託によ
って成り立つ政治・行政論からの発想がある。公権力を最大限縮減して、公権力行使のリスクを抑制し、
分節型社会の構築によって一人ひとりの市民が自由に暮らせる社会をめざそうという市民自治に基づい
た信託論によるアウトソーシング論なのである」(今井照『自治体のアウトソーシング』)としている。

③.「提案型公共サービス民営化制度」と「事業仕分け」の組み合わせによる領域区分を
「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」を区分する方法として「事業仕分け」手法と共に、注目され
るのが我孫子市の「提案型公共サービス民営化制度」である。我孫子市では2006 年3 月から「提案型公
共サービス民営化制度」(「協働化テスト」、以下同様)という市場化テストを発足させた。この制度は、
官の発想による委託化から、民の提案に基づく民営化・委託化を特徴としている。その流れとしては、
行政評価シートで作成された市のすべての事務事業をHP上で公表し、個別事業に対する民間からの提
案(現事務事業よりも事業効果の高い提案)を公募し、担当課との協議も踏まえて、予備審査、分科会
での検討、そして最終的には審査委員会での審査を経て採用が決定するという流れとなっている。この
制度は「協働領域」を市民社会、あるいは市場からの自発的な公募により確定していくというオープン
かつ公平・公正な手法といえる。
◆民と官が対等な立場で公共サービスを担う「新しい公共」づくり
◆特徴:官の発想による委託から、民の提案に基づく民営化・委託化
◆制度の開始:2006年3月
全事業公表
行政評価表をもとに1,131事業

担当課・総務課
企業
団体
組合
NPO
予備審査
分科会審査
提案審査委員会
審査基準
★市民の利益
○適切な役割分担
○サービスの向上
○効率性の向上
○地域の活性化
採用
随意契約3件(1)
競争入札31件(5)79件(8/末)
(NPO13、企業61、その他5)
審査56件 5名、6回開催

我孫子市提案型公共サービス民営化制度
人口134,810人(20120601)
サービスをもっと豊かに、市役所をさらにスリムに!
3 つの領域区分の方法としてこの「協働化テスト」方式と「事業仕分け」方式の2 つのシステムを組み
合わせ、まずは「協働化テスト」方式を採用して行政事務事業から協働領域事業を公募する。「協働化テ
スト」で採択された協働事業を除く事務事業を市民参加による「事業仕分け」で行政領域事業と自治領
p.23
域事業、そして協働可能性事業(次年度の協働化テストの公募に際しは、その旨を説明)に分類すると
いうやり方である。このような「協働化テスト」と「事業仕分け」の組み合わせてを、毎年繰り返すこ
とによって実態に沿った「行政領域」・「協働領域」・「自治領域」の区分が可能になるのではないか。
「協働化テスト」と「事業仕分け」の組み合わせで
行政領域・協働領域・自治領域の区分をやろう!
協働化
テスト
事業仕分け
協働化
テスト
事業
行政事務事業から仕分け
協働事業を公募
市民参加で
行政領域・自
治領域、協働
性領域に分類
協働可能性事業をPR

④.重要課題の解決のための特別協働プロジェクトを立ち上げよう
「協働化テスト」と「事業仕分け」の一体的な組み合わせによる協働事業の抽出とは別に、市政が抱
える重要課題に対応するための特別協働プロジェクトを立ち上げる必要がある。
このプロジェクトは、①関係する多様な主体の参画(行政もその中の一つと位置付ける)によるタス
クフォースチームと位置付ける。②プロジェクトリーダーの選任、課題解決方策の検討、成果目標の設
定等を関係主体間で協議し決定する。③協議内容を協働協定書として締結する。③プロジェクトチーム
に使途が任される予算の手当てをおこなう。④課題解決と共にプロジェクトチームが解散する時限型の
プロジェクトと位置付けることなどが特徴で、外部人材を有効に活用して重要課題を効率的・効果的に
解決するためのダイナミックな手法である。
このプロジェクトチームの位置付けを法的にどのように位置付けるかなど、検討しなければならない
課題も多いが、課題解決の迅速化が求めらている市政運営において是非とも研究に値する課題ではない
だろうか。
p.24
提案7:“地域のことは、地域で決定し、地域で責任をもって実行する”という、小学校区
からの地域自治の仕組みづくりに挑戦しよう!
-地域住民にとって基礎的な生活圏とも呼べる小学校区を再認識する必要がある。政府にすべてを任す
ことが出来ない現実をしっかりと受け止めて、そこでの自助・互助・共助・公助を基盤とする地域自治
の仕組みを確立する必要がある。いよいよ市民自治型の自治体運営に挑戦する時代に入ったといえる。
人口減少、少子・高齢化、犯罪の発生、商店の減少、空家の増加、自治会の加入率の低下など、地域
を取り巻く環境が大きく変容しつつある。そのため、相互扶助の力が弱まって安心・安全な暮らしが脅
かされつつある。地域がかかえるコミュニティ再生にかかわる課題を整理すると以下のようになる。
◆平成24 年(2012 年)4 月の奈良市の人口366,429 人が、平成42 年(2030 年)には301,663 人に減
少。年少人口は2012 年46,001 人で12.6%であったが、2030 年には26.767 人(8.9%)まで減少。一方、
高齢者人口は2012 年の88,808 人(24.2%)が、2030 年には105,392 人(34.9%)と推計。2012 年の高
齢化率の一番高い地区は36.4% 、低い地区が13.3%。
◆自治会加入率は1977 年には99.55%であったが、平成24 年度(2012 年度)で81.5%に低下。小学
校区49 地区の内、加入率90%以上のところが10 地区、100%の地区が3 地区、一番低いところが64.7%。
◆自治会、地区自治連合会の課題として「役員の成り手不足(自治会長が毎年7 割以上が交代のため
前年度踏襲型の活動に陥りがち、一方20 年以上の会長も存在 )」、「高齢者が役員になることの負担から
自治会脱退の人も」、「指導者不足、加入率低下、無関心化」、「自治会、地区自治連合会活動に懐疑的な
人が増加」、「地区自治連合会からの離脱(別団体の設立)」、「他団体への(NPOなど)への理解不足 」
など。(以上、第4 回行政改革市民会議より)
◆地域にかかわる奈良市の政策・施策は、基本的には縦割である行政の関連部署を起点に政策・施策
が遂行されている。そのためにそれらに対応する地域の各種団体も縦割り的な活動にならざるを得ず、
結果として小(中)学校区で活動する各種団体の連携・協働が阻害される要因の一つとなっている。小
(中)学校区に対応する政策・施策の選択と集中化を踏まえた統合政策・施策の確立と、それに対応す
る行政組織の再編と強化が求められる。
◆圏域を対象とした地域包括ケアシステムの確立、中学校区を対象とした地域で決める学校予算事業、
小学校区を基盤とする自治連合会活動、地域福祉活動、自主防災・防犯活動、小学校コミュニティ・ス
クール、子育てスポット事業、そして範域にとらわれないNPO活動というように、事業内容によって
活動の範域が異なる重層的なネットワークが形成されている。そのために、それぞれのネットワークの
関係主体の重複による過重な活動負担、あるいは事業目的に対する関係者の認識の齟齬等が生じており、
自助・互助・共助・公助による効率的・効果的な連携・協働によるネットワークの再編・強化が求めら
れている。
■市民自治概念の確立を
市民自治とは何か?市民自治と共に住民自治という言葉も使われている。それらは参加や協働とはど
のような関係にあるのだろうか。主権者である市民が重要な役割を果たさなければならない「市民参加
と協働による自治体運営」の実現にとって、参加や協働との関係で市民自治の概念を確立しておく必要
がある。
p.25
①.「地方自治の本旨」にいう住民自治とは
自治の概念に関しては、「自治に共通するものは自律(autonomy)と自己統治(self-government)の
結合である。個人が他者の統制にしばられずにみずからの規範、準則、目的といった規準を定立し、み
ずからの意思がみずからの行為を律する余地があるとき、そこには個人の自律ないし自治があるという」、
「そして、集団および共同社会についても個人の自律と同様の意味において、集団の自律、共同社会の
自律を語ることができる。・・・構成員全員が定立する民主制、集団生活の規準の定立が構成員の参加
と同意のもとにおこなわれて、集団の公共意思が個人の意思の合成と観念されているとき、そこに集団
の自己統治ないし自治があるという」(西尾勝『行政学の基礎概念』)
一方、憲法にいう「地方自治の本旨」は団体自治と住民自治で構成される。「住民自治とは、地域の
住民が地域的な行政需要を自己の意思に基づき自己の責任において充足することを指し、団体自治とは、
国から独立した地域団体を設け、この団体が自己の事務を自己の機関によりその団体の責任において処
理することをいう」(塩野宏『行政法Ⅲ・行政組織法』)、また「「住民自治」の原理は、自治体の内部自
治のあり方にかかわり、自治体の政治行政がなるべく直接に住民の意思に基づいて行われるべきこと、
を指している」、「国政において議会制民主主義が基本なのに対して、地方自治・自治体行政にあっては
それと並んで直接民主主義も基本になっているところが、「住民自治」の特色なのである」(兼子仁『地
方自治法』)

②.市民自治とは
自治概念や「地方自治の本旨」にいう住民自治の概念を踏まえながら市民自治を規定すると、市民自
治は「市民参加による政府統制活動」と「市民の実践活動」という2 つの要件で構成される。
一つは、「市民は主権者」という視点を踏まえた市民参加の充実・強化を図ろう」でも述べたように、
市民参加制度を活用して市民が信託した政府活動をチェック(監視)するとともに、政策提案等をおこ
なって市民の意思に基づく効率的・効果的な政府活動をうながす(やらせる)という「市民参加による
政府統制活動としての市民自治」である。
もう一方の市民自治の要件は市民自身にかかわることである。自らのことは、自らで決めて、自らで
実行し、結果に対して自らが責任をとる。地域のことは、地域で決めて、地域で実行し、結果に対して
地域が責任をとるという市民、自治会などの地縁組織、NPO等による自己決定・自己実践・自己責任
という規範意識に裏付けられる「市民の実践活動としての市民自治」である。
それでは協働との関係をどのように整理すればいいのだろうか。協働についていえば、協働は「市民
参加による政府統制活動」の一環であり、「市民の実践活動」を前提にした行政等との共同活動(事業)
ということになる。
p.26
市民自治の概念を確立しよう!
市民参加による政府統制活動としての市民自治
市民の実践活動としての市民自治
市民参加制度を活用して政府活動をチェック(監視)するとともに、政策提案等をおこなって市民の意思に基づく政府活動をうながす(やらせる)。
自ら(地域)のことは、自ら(地域)で決定し、自ら(地域)で実行し、自らが責任をもつ。
■地域主導の地域自治システムを構築しよう
①.コミュニティ政策とは
コミュニティは多義的な概念である。コミュニティとは「何らかの意味で共同生活を営む人びとの集
まりをさすか、一定の地理的範囲において成り立っている共同生活のシステムをさす。前者の場合に<
共同性>が、後者の場合には<地域性>が定義の要件となり、どちらか一方または双方を要件とする場
合がほとんどである」(宮島喬編『岩波小辞典 社会学』)としている。
ここではコミュニティ政策を共同性と地域性を要件とする概念としてとらえ、「小学校区を範域とする
地域住民による共同生活の再構築及び地域自治の仕組みづくにかかわる(コミュニティ再生)政策」と
しておく。
②.総合計画・行財政改革大綱にみるコミュニティ政策
それでは、奈良市のコミュニティ政策の現状はどのようになっているのだろうか。第4 次総合計画の
基本構想では「地域でのつながりを深め、自助・互助・共助・公助の考え方」の重要性を指摘すると共
に、前期基本計画では「「自分たちの地域は自分たちでつくる」という自治の意識を高めるために、自治
会活動などの地域のコミュニティ活動を促進する必要がある」、「地域の多様な主体が連携して、より効
果的なまちづくりを進めるための新たな仕組みづくりの検討が必要」、「地域のコミュニティを基本にお
いて、地域の連帯感や助け合いの意識を高め、市民、行政、事業者などが適切な役割分担の下、市民が
主役となったまちづくりの推進」が謳われている。また実施計画には、自治会活動支援事業(交付金、
地区調整員)、地域集会所の整備、地域ふれあい会館の運営等の施策が紹介されている。
一方、行財政改革大綱に基づく実施計画では「地域コミュニティ形成に向けた取り組みとして、地区
自治連合会等の地縁型組織とNPO等のテーマ型組織とが連携した(仮称)まちづくり協議会の設置を
促し、地域におけるまちづくり、地域課題を解決するための組織づくりの支援を行っていく」と明記し
ている。
p.27
それらを踏まえた具体的な取り組みとしては、地区調整員(市と地域のパイプ役として地域の課題や
問題点に対応する職員、12 名)を配置したり、各地区自治連合会に対する地域活動推進交付金(地域に
おける対話の促進、地域活動の推進、地域の要望の集約、地域福祉活動等への支援金)、あるいは各自治
会に対する自治会交付金(しみんだより等の配布、行政の周知事項の伝達などへの給付金)の支給など
の資金的支援、また自主防災防犯組織に対する活動交付金の交付などがおこなわれている。
③.「コミュニティ再生戦略」の策定を
平成20 年(2008 年)2 月に、奈良市都市経営戦略会議から「近隣コミュニティ形成に向けての提言」
がなされた。この提言の流れを踏まえる形で現行のコミュニティ政策が推進されているとは思うが、地
域を取り巻く高齢化などの今後の厳しい環境変化、あるいは自治会、地区連合会等が抱える課題を直視
するならば、「近隣コミュニティ形成に向けての提言」を再編・強化する形で、早急に「コミュニティ再
生戦略」をつくる必要がある。
コミュニティ政策を「小学校区を範域とする地域住民による共同生活の再構築及び地域自治の仕組み
づくにかかわる(コミュニティ再生)政策」と規定したように、「コミュニティ再生戦略」の策定に当た
っては①地域の実態を詳細に把握すると共に、各地域の課題や特性を踏まえた内容であること、②地域
のことは、地域で決めて、地域で実行し、結果に対して地域が責任をとるという「市民の実践活動」と
しての地域自治の仕組みづくりを追求すること、そのためにも③地域主導・行政支援にふさわしい地域
対応型の行政支援システムの構築が検討されること、④地域住民による共同生活の再構築と地域自治の
仕組みづくり(コミュニティ再生活動)が参画と協働による市民自治型の自治体運営の中核に位置付け
られること、⑤戦略づくりに当たっては、地域毎に徹底した市民参加がおこなわれること、などが基本
的な視点とならなければならない。
④.地域づくり協議会(まちづくり協議会)の設立を
地域では多様な地域活動が展開されてはいるものの、担い手の高齢化、地域住民の結びつきの脆弱化
等により自治会、自治連合会等の活動力の低下が課題となっている。そのような傾向に歯止めをかける
ため、地域で活動する多様な活動組織で構成される新たな地域を代表する地域自治組織(名称としては、
地域づくり協議会、住民自治協議会、まちづくり協議会など)の設立が、各地で進んでいる。
その背景としては、①自治会加入率の低下や自治会活動への住民参加率の低下による地域を包括する
現行の自治連合会的な組織の地域代表性の希薄化の問題。②自治連合会で対応できない地域の課題解決
に取り組むボランティア活動やNPOなどの新たな地域活動組織の台頭。③行政の厳しい財政事情から、
行政事務や公共サービスを受託する能力をもった地域における「受け皿」の必要性。③「参加と協働に
よる自治体運営」の進展などが考えられる
以下、小学校区を単位に活動する地域を代表する新たな地域自治組織としての地域づくり協議会の特
徴を述べておく
ⅰ設立の方法
設立の方法は「自治連合会を地域づくり協議会に再組織化する方式」、「自治連合会が主導する形で新
たに地域づくり協議会を設立する方式」、「NPOなどが中心になって設立する方式」等、様々な設立方
p.28
法があってしかるべきだ。どのような設立方式を選択するかは、地域の活動団体の活動実態等を踏まえ
ながら地域での話し合いで決定することになる。
ⅱ運営員会が重要
地域づくり協議会においては総会が地域の最高の意思決定機関であり、地域住民の全員参加(含む代
議制)を原則として年1 回の開催が求められる。理事会は総会の議決にもとで協議会の運営に責任を負
うことになる。理事会のもとに実質的な活動部隊としての運営委員会が能動的に機能しなければならな
い。運営委員会は、地域で活動する様々な分野の地縁組織やNPOの代表、公募で選ばれた地域住民な
どで構成される情報交流の「場」であり、地域の問題・課題の共有の「場」であり、活動調整の「場」
でもある。運営委員会を通じて、構成メンバーの協力・連携・役割分担によるダイナミックな協働活動
が展開される。そのためにも運営委員会の位置付けは、理事会という組織の下に位置付けられるという
上下の固定的なものではなく、現に活動している多様な活動団体のための連絡調整の「場」、あるいはこ
れからの地域づくりを検討する戦略会議の「場と」いうようなオープンかつダイナミックな組織として
機能しなければならない。
ⅲ求められる民主的な運営
地域づくり協議会は、地域住民の総意形成が民主的かつ円滑になされる組織でなければならないし、
住民による自発的な地域活動に支えられた組織でなければならない。そいう意味からも地域づくり協議
会は、地域住民、地縁組織、NPOなどの多種・多様な地域活動をエンパワーメントする(組織力・活
動力を強化する)ための支援組織という位置付けが重要である。当然のことであるが協議会は行政から
は独立した組織で、行政の下請け組織であってはならない。
ⅳ地域福祉の拠点
少子・高齢化への対応は最重要課題である。子育て支援、高齢者介護、障がい者介護、保健、医療等
にかかわる地域住民のライフ・ステージに合わせた福祉サービスの供給を総合的に対応できる地域福祉
システムの核として地域づくり協議会が役割を果す。
ⅴ地域づくり計画の策定
これからの地域づくりのあり方、あるいは地域が目指すべき方向性の検討とともに、どのような活動
を優先しておこなうか、活動の担い手をどうするかなどについて地域住民や活動団体間で話し合う必要
がある。そして、その話し合いの結果を地域づくり計画としてまとめあげる必要がある。地域の活動は
地域づくり計画に基づいて推進することになるが、この内容について行政と話し合い、行政と地域との
役割分担を明確にする必要がある。総合計画との関係でいえば、この地域づくり計画をベースに総合計
画が組み立てられなければならない。
ⅵ小学校が地域の拠点
小学校区を単位とする地域づくりには活動拠点が必要不可欠だ。その拠点としては、すべての地域住
民に関係が深い小学校が最適である。小学校の余裕教室を地域づくり協議会の事務局として活用すると
p.29
ともに、地域で活動する諸団体の事務局もそこに併設してこの拠点を地域住民の交流の拠点、地域自治
の拠点、地域づくりの戦略本部と位置付ける必要がある。
・地域計画の策定
・行政からの受託事業の実施
・多様な地域活動の推進
事業実施
総会
理事会
協議・合意形成・決定の場
多様な地域活動
地域計画
運営委員会
行政
参加
協働
自治会
町内会
ボランティア
グループ
NPO
事業者
自治連合会
小学校区単位に地域づくり協議会を設立しよう!
住民
■市民自治強化システムの構築を
「市民は主権者」であるという民主主義の原理・原則を踏まえた「市民参加による政府統制活動」と
「市民の実践活動」からなる市民自治の力を強化して参加と協働による市民自治型の自治体運営を実現
するには、市民、自治会、地域自治組織、ボランティア組織、NPOなどをエンパワーメントするため
の市民自治強化システムが必要不可欠になる。
1.市民自治強化システムとは
市民自治強化システムを説明すると以下のようになる。市民が納めた市民税(個人・法人)の一定割
合を、毎年、行政が公益信託市民自治強化基金に拠出する。運営委員会(審査委員会)の審査に合格し
た地域自治組織、NPOなどに助成金が支給される。助成金の支給と並行して情報提供、人材派遣など
のバックアップが支援組織である市民自治支援ネットワークから実施されるという流れである。システ
ムの最大の眼目は、資金不足に悩む地域自治組織、NPOなどへの技術的支援を伴った資金的支援をお
こないながら総合マネジメント力、いいかえれば市民自治力の強化を図ろうというものである。
2.市民自治強化基金とは
市民自治強化基金は、市民税の一定割合と企業や市民の寄付などを集めた公益信託市民自治強化基金
として設立し、毎年充当される基金を取り崩す形で地域自治組織、NPOなどの活動に助成するシステ
ムである。助成対象は、ソフト、ハードの両事業を対象とする。助成の種類としては、地域自治組織や
NPOなどを対象にした一般助成枠とは別に支援センターなどの中間支援組織などへは特別枠助成とし
てスタッフ人件費などの運営費助成も対象とする。地域自治組織である地域づくり協議会には特別枠と
して、毎年、恒常的に一定金額を助成するという方法も検討する必要がある。また助成の条件としては、
p.30
3~5 年を助成期間とする複数年助成や、助成申請の随時受け付けなどの柔軟な助成システムのあり方も
検討する必要がある。
3.助成審査と評価
助成審査を担う運営委員会(審査委員会)は行政、企業、NPOの関係者、公募市民、学識者、専門
家などで構成される審査・評価機関である。委員会のもとに、NPOの実務者、学識者、コンサルタン
トなどの専門家に、大学、研究機関等が協力する審査・評価チームが編成され、助成申請団体に対する
事前ヒアリング、企画内容の審査、事業進捗状況にかかわるヒアリング、事業実施後のアウトプット・
アウトカム評価、事業実施完了から数年後の評価などの機能を担うことになる。
4.市民自治支援ネットワーク
市民自治支援ネットワークは、助成の有無にかかわらず、コミュニティ組織、NPOなどの市民
活動団体や、地域づくり協議会などを支援するネットワーク型の支援組織である。メンバーは、中
間支援組織、大学、研究機関、専門家などで構成されるが、市外の関係機関、専門家などとのネッ
トワーク化も図る。
助成活動への支援とともに、地域の公共を担う人材の養成を目指す。地域づくりや市民自治活動
を推進する地域づくりリーダーの養成、地域の活動をエンパワーメント(強化)するためのコーデ
ィネート(調整)やファシリテート(知識や能力などを引き出す)する機能を担う人材の養成、多
様なステークホールダー(利害関係者)をネットワークし、課題解決プロジェクトを推進・支援す
る人材などの養成である。また、「市民参加を政府に対する市民の統制(コントロール)手段として位
置付けよう」で述べた審議会・委員会に参加する市民委員の審議会活動を支援することも担うことにな
る。また、NPOリーダー、自治体職員、議員などを対象にした現職能のエンパワーメントを目指
す研修事業の実施、子供から高齢者を対象にした地域の公共活動を担う人材の養成を目指す市民教
育(シチズン・シップ教育)も実施する。

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プロフィール

ゆきまつ

Author:ゆきまつ
幸松(ゆきまつ) 
   孝太郎(こうたろう) 
65歳
住所:名張市百合が丘西2ー86
職業:名張市議会議員(無所属)
家族:妻、二男一女の5人家族
座右の銘:
”Mastery for Service
(奉仕のための練達)”
「”社会の中で輝いた生き方”をするために!」

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