ゆきまつ孝太郎活動報告〔無所属〕
名張市議会議員【2期目】 教育民生委員長
2011-05-31 [ Tue ]
テーマ:地域医療
来週、厚生労働省からの出向で、三重大学にて研究活動を行っている稲川准教授と話し合いをします。彼は、大臣官房人事課長補佐などを歴任、介護保険創設時のメンバーで、現在も福祉分野を中心に教育研究活動を続けています。
厚生労働省での経験談や政策の話題なども交えながら、緻密なデータに基づいた地域医療のお話が聞けるのが楽しみです。
昨年の地域医療の講演内容を紹介しましょう。
「全国的に深刻な医師不足の傾向にあることや、それを引き起こしている原因や解決にむけての改善策、さらに三重県内での現状や他府県での解決取り組みの紹介など、多岐に渡るものでした。
また講師自ら現地で調べたデータなども紹介され、現在の医療の実情について、分りやすく解説が行われました。
幾つか内容を抜粋してご紹介します。
例えば、人口10万人あたり医師数の分布は、東日本に比べて西日本の医師数が高くなっていることがスライドで紹介されていました。
右の写真のように、赤やピンク色が西日本に集中していることが確認できます。三重県は水色で、全国37番目となっているそうです。
また、人口1000人あたりの臨床医数を国際的に比較しても、日本は2.1人と先進国中で非常に少ない数値です。
そして、三重県内の医師数は全国平均の半分と、非常に厳しい状況にあります。とくに伊賀地域が深刻で、人口10万人あたり医師数は、病院・診療所ともに県内最下位です。これを解決すべくエリア3つの病院が交互に救急を担当する”伊賀地域救急輪番制”を導入したことはメディア等でも報道されているところです。
さらに、三重県内の病院・医師数の増減について、公立病院・公立病院以外ともに減少傾向を確認することができます。
このように医師不足を引き起こしている原因の一つとして、平成16年に導入された「新臨床研修制度」があげられます。この制度により、医学部卒業生は出身大学の病院で研修するというスタイルから、自ら研修先を選べるようになりました。幅広い能力を有する医師の育成に貢献した反面、設備がよく多様な症状の患者がいる都市の病院に研修医が集中。地方の大学病院は、各病院へ医師を派遣することが難しくなっていきました。
その結果、地方の病院に残った勤務医の過重労働につながっていくという事態を招いているのです。
例えば、県内のある病院では、医師の36時間勤務が月に5・6回ということも。
非常に過酷な労働実態です。
一方、10年前に比べ救急車の利用は1.5倍になっており、軽症の占める割合が高い。いわゆるコンビ二受診が増えているのです。
「患者の側にも医療従事者への理解が求められています。医師はサイボーグではなく人間ですので、”この地域で医療に従事したい”と思ってもらうことも大切なんですね」と講師の稲川氏。
滋賀県の東近江地域医療ネットワークや、南牟婁郡御浜町の紀南病院タウンミーティングの例など、先進的事例が紹介されました。
解決策としては、女性医師の離職防止・復職支援、看護師など医療関連職種の増加によるチーム医療推進があげられます。施設に頼る医療ではなく、地域内の病院がネットワークして相互に機能分担・連携することも大切です。また、医学部入試に地域枠が設けられるなど、エリアの医師を育成していこうという機運もでてきています。
講義後、受講者からは「美容整形の医師が増えたことも医師不足の原因になっていますか?」「外国人医師招致による医師不足緩和はどう思いますか?」といった質問が投げかけられました。
「たしかにリスクの少ないところに医師が偏在しています。特に外科や産科は嫌われて減少傾向になっています。また外国人医師に関しては、障壁をなくすといずれは可能かもしれないが、ハードルは高いでしょう」と稲川氏。
「市全体は難しいかもしれないが、あるエリアをブロック化して病院ネットワークをつくることはできないでしょうか?なかなか口火を切る人がいないと難しいから、行政で仕掛けていってほしい」という意見に対して「確かに難しいですね。でも行政主導ではなかなか先に進まないかもしれません。地域のいろんな分野に気持ちのある人材がいる。そういった人たちに先頭に立ってもらって、地域全体を一つの病院のようにネットワークすることができれば…」と返答があるなど、活発な議論が行われました。
また司会者の渡邉悌爾氏(三重大学 特命学長補佐)から、「医師不足とともに看護師不足も深刻。三重大病院は副院長が看護師確保に多大な時間を割いています。看護師も当直日数が多く労働条件が厳しいため、なかなか働き手を見つけることが難しい状況です。タウンミーティングなどで話し合いの課題としてほしいですね。ぜひ稲川さんには厚生労働省で、三重県の問題解決に当たっていただければと期待します」といった言葉も。
講師の稲川氏は「病棟閉鎖もあるほどで大きな問題ですね。たとえ短時間勤務でも看護師さんを雇ったりと、潜在的な看護師を増やす工夫が必要かもしれません」と答えていました。そして、”私は私にできることをしているだけ”という”ハチドリのひとしずく”の精神がとても大切だと思っています」。という締めくくりの言葉がとても印象的な講義でした。』(同大学 21世紀ゼミナールより引用)
以上のような稲川さんとは、滋賀県の東近江における「三方よし研究会」でご一緒しており、名張の話もたっぷり聞きたいと思っています。
来週、厚生労働省からの出向で、三重大学にて研究活動を行っている稲川准教授と話し合いをします。彼は、大臣官房人事課長補佐などを歴任、介護保険創設時のメンバーで、現在も福祉分野を中心に教育研究活動を続けています。
厚生労働省での経験談や政策の話題なども交えながら、緻密なデータに基づいた地域医療のお話が聞けるのが楽しみです。
昨年の地域医療の講演内容を紹介しましょう。
「全国的に深刻な医師不足の傾向にあることや、それを引き起こしている原因や解決にむけての改善策、さらに三重県内での現状や他府県での解決取り組みの紹介など、多岐に渡るものでした。
また講師自ら現地で調べたデータなども紹介され、現在の医療の実情について、分りやすく解説が行われました。
幾つか内容を抜粋してご紹介します。
例えば、人口10万人あたり医師数の分布は、東日本に比べて西日本の医師数が高くなっていることがスライドで紹介されていました。
右の写真のように、赤やピンク色が西日本に集中していることが確認できます。三重県は水色で、全国37番目となっているそうです。
また、人口1000人あたりの臨床医数を国際的に比較しても、日本は2.1人と先進国中で非常に少ない数値です。
そして、三重県内の医師数は全国平均の半分と、非常に厳しい状況にあります。とくに伊賀地域が深刻で、人口10万人あたり医師数は、病院・診療所ともに県内最下位です。これを解決すべくエリア3つの病院が交互に救急を担当する”伊賀地域救急輪番制”を導入したことはメディア等でも報道されているところです。
さらに、三重県内の病院・医師数の増減について、公立病院・公立病院以外ともに減少傾向を確認することができます。
このように医師不足を引き起こしている原因の一つとして、平成16年に導入された「新臨床研修制度」があげられます。この制度により、医学部卒業生は出身大学の病院で研修するというスタイルから、自ら研修先を選べるようになりました。幅広い能力を有する医師の育成に貢献した反面、設備がよく多様な症状の患者がいる都市の病院に研修医が集中。地方の大学病院は、各病院へ医師を派遣することが難しくなっていきました。
その結果、地方の病院に残った勤務医の過重労働につながっていくという事態を招いているのです。
例えば、県内のある病院では、医師の36時間勤務が月に5・6回ということも。
非常に過酷な労働実態です。
一方、10年前に比べ救急車の利用は1.5倍になっており、軽症の占める割合が高い。いわゆるコンビ二受診が増えているのです。
「患者の側にも医療従事者への理解が求められています。医師はサイボーグではなく人間ですので、”この地域で医療に従事したい”と思ってもらうことも大切なんですね」と講師の稲川氏。
滋賀県の東近江地域医療ネットワークや、南牟婁郡御浜町の紀南病院タウンミーティングの例など、先進的事例が紹介されました。
解決策としては、女性医師の離職防止・復職支援、看護師など医療関連職種の増加によるチーム医療推進があげられます。施設に頼る医療ではなく、地域内の病院がネットワークして相互に機能分担・連携することも大切です。また、医学部入試に地域枠が設けられるなど、エリアの医師を育成していこうという機運もでてきています。
講義後、受講者からは「美容整形の医師が増えたことも医師不足の原因になっていますか?」「外国人医師招致による医師不足緩和はどう思いますか?」といった質問が投げかけられました。
「たしかにリスクの少ないところに医師が偏在しています。特に外科や産科は嫌われて減少傾向になっています。また外国人医師に関しては、障壁をなくすといずれは可能かもしれないが、ハードルは高いでしょう」と稲川氏。
「市全体は難しいかもしれないが、あるエリアをブロック化して病院ネットワークをつくることはできないでしょうか?なかなか口火を切る人がいないと難しいから、行政で仕掛けていってほしい」という意見に対して「確かに難しいですね。でも行政主導ではなかなか先に進まないかもしれません。地域のいろんな分野に気持ちのある人材がいる。そういった人たちに先頭に立ってもらって、地域全体を一つの病院のようにネットワークすることができれば…」と返答があるなど、活発な議論が行われました。
また司会者の渡邉悌爾氏(三重大学 特命学長補佐)から、「医師不足とともに看護師不足も深刻。三重大病院は副院長が看護師確保に多大な時間を割いています。看護師も当直日数が多く労働条件が厳しいため、なかなか働き手を見つけることが難しい状況です。タウンミーティングなどで話し合いの課題としてほしいですね。ぜひ稲川さんには厚生労働省で、三重県の問題解決に当たっていただければと期待します」といった言葉も。
講師の稲川氏は「病棟閉鎖もあるほどで大きな問題ですね。たとえ短時間勤務でも看護師さんを雇ったりと、潜在的な看護師を増やす工夫が必要かもしれません」と答えていました。そして、”私は私にできることをしているだけ”という”ハチドリのひとしずく”の精神がとても大切だと思っています」。という締めくくりの言葉がとても印象的な講義でした。』(同大学 21世紀ゼミナールより引用)
以上のような稲川さんとは、滋賀県の東近江における「三方よし研究会」でご一緒しており、名張の話もたっぷり聞きたいと思っています。
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